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｢そういうのは良くないぞ｣
｢はい？｣
｢考え過ぎによるストレス。余計な事を考えるのは、お前が暇だからだ｣
｢これでも忙しい身ではあるのですが･･･｣
彼は首を横に振る
｢天才の僕でも暇な時間はあるんだ。無い訳がない。そうだな、暇な時間は僕の事でも考えると良い!!｣
僕の顔を両手で掴んだ彼は笑顔で言った。目を開いた彼と彼に向けていた僕の視線が絡む。綺麗な琥珀色の瞳が僕の事を見下ろしている
｢カーディナルは･･･外国の？｣
｢お前からしたら外国になるのか？｣
｢日本では無いというのなら｣
｢そうだな。僕の国籍はアメリカだが、それが何か悪いのか？｣
案外あっさりと彼は国籍を教えてくれて、彼を日本で探す事が不可能だという事が分かった。アメリカの一般人であれば、日本にはあまり情報は無さそうだ。アメリカと言えば、FBIだが手を借りるつもりもない
｢バーボン？｣
｢あ、えと、別に国籍は関係ないですね｣
｢だよな!!と言っても、僕は日本国籍になるつもりではいるけどな｣
｢えっと、それはどうして？｣
｢知り合いが日本国籍なんだ。一緒に住む予定だから、国籍を揃えようと思ってな｣
誰かの為に国籍も変えるのか。それとも、その知り合いも組織の人間で逃亡を行おうとしているのだろうか。この組織から逃げ出せるとは思えないけれど
｢バーボンは日本なのか？｣
｢はい。僕は安室 透と言いますから｣
｢なるほど｣
｢カーディナルの名前はどうなんです？｣
｢僕？僕は、･･･僕はカーディナルだ｣
何気ない雰囲気の会話のつもりだったが、カーディナルには触れられたくない話題だったようで、表情を暗くしてしまった。そして、名前も教えてくれはしなかった
｢カーディナル、今日はもう？｣
｢僕は忙しいからな。研究所に向かう｣
｢そうでしたか。では、研究所まで送りますよ｣
何だかんだと言っても、カーディナルの研究所に足を運んだ事は無かった。彼専用のラボがあるらしいが、詳しくは分かっていない
｢じゃあ、荷物持ちな!!｣
｢分かりました｣
｢こっちだ!!ついて来い!!｣
彼はイスから下りて、僕の手を引っ張った。この光景に二度も立ち会う事になるとは思わなかった。同じ小さな背中を追い掛ける場面だと言うのに、あの時とは違う想いを抱いてしまう
僕と同じぐらい歳でも、全くそんな感じがしない。本当に幼い子どものようだった
｢ここが資料室だ!!知ってるか？｣
｢ええ、何度か入った事はあります｣
彼に連れて来られた場所はあまり入らない、僕の分野では無い資料が集まる資料室だった
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作者名：空白可能
| 作成日時：2021年12月12日 0時
