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｢どうだった？｣
｢一応成功作だとは思いますが、一度きりの成功で大丈夫ですか？｣
｢いや、あと複数回は試す。現場でも何回か試すつもりだ。この僕の実験に携われるんだ、ありがたく思えよ!!｣
彼はふんぞり返って言っているけれど、他に相手はいないのだろうか。彼の性格上、他に相手はいなさそうだが。カーディナルの事をあまり知らないので、暇な時にでもこういった実験に付き合って、人となりと身分を調べなければならない
少しでも近付けたのなら、調べる対象を彼の周辺に絞り込む事も出来る
｢また呼んでください｣
｢お前は僕の友達だからな!!特別に呼んでやる!!｣
彼は終始、上からものを言っているが、それほど苦痛という訳でもない。ジンより扱いの困るような相手でも無い。逆に言えば、この組織の中で一番扱いやすいタイプの人間だ
｢今日はありがとう。色々と参考になった｣
｢お役に立てて良かったです｣
｢僕は忙しいから研究所に戻るが、僕が見てない所で無様に死ぬんじゃないぞ｣
｢ええ、ありがとうございます｣
彼は人の心配も出来る人柄だ。組織に似つかわしいような、似つかわしくないような難しい人だ。少なからず、僕は彼に興味を持った。それに僕の知りたい事もカーディナルなら知っているかもしれない
日々をカーディナルと何となく過ごして、彼の漏らすある程度の情報を得ては、調べようと思った。しかし、調べてみても彼の情報は全く見付からなかった。どこに行ってもカーディナルの文字しか見付からず、彼自身の存在は分からなかった
｢･･･カーディナルは、ライの事をどう思いますか？｣
いつものように彼がやって来たので訊いてみた
｢ライ？ふん、僕はアイツなんて嫌いだ。この僕が友達になってやると言ったのに断ったんだぞ｣
もう少しあの男の行動について聞きたかったのだが、彼は友達になれなかったという事で、あまり関わって来なかったらしい。あの男がノックだとバレて組織を去ったとしても、自分には関係が無いように話していた
｢僕を疑ったりはしないんですか？｣
｢バーボンは僕の友達だからな!!｣
笑顔で彼はそう言った。理屈の通らない理由だったけれど、それでもどこか嬉しく感じてしまった
そんな彼と友達として過ごし、ある程度の時間が過ぎていた。そんなある日の事だった。ジンに報告する事があって、ジンのいる部屋に向かった
｢ジン。入りますよ｣
声を掛けながらドアを叩いて、返事を待ったがジンが返事をする事はなく、ドアノブに手を掛け、ドアを開けた
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作者名：空白可能
| 作成日時：2021年12月12日 0時
