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｢何を描いているんですか？｣
｢何か!!｣
｢なん、え？｣
元気よく答えられたが、全く要領を得ない返事だった
｢僕の絵は凄いんだぞ!!｣
｢見ても良いですか？｣
｢良いぞ!!｣
カーディナルに許可を貰って、絵を見せてもらう。そこには笑顔の僕の知らない人達が並んでいた。彼は自分で天才と言うだけあって、絵の才能もあるらしい。子どもらしい絵ではなくて、マンガのようなタッチの絵ではあるが、きちんとした人の顔だった
｢えっと、誰を描いたんですか？｣
｢僕の母だ!!美人だろ!!こっちは父だ!!格好良いだろ!!｣
｢とっても｣
初めて見る彼の両親の姿。彼の言った通り、美人なお母さんで、格好良いお父さんだった
｢･･･これは？｣
｢知らない。何かいつもいる｣
紙の隅に描かれていたものが気になったので、彼に訊いてみたのだが、彼は首を横に振って答えた
｢いつもいる、ですか｣
｢うん｣
紙の隅に描かれた黄色と銀色のグルグル模様は彼の中にいつもいるのだと話してくれた。どの絵にも描かないと気が済まないそうで、床に散らかっていた紙の隅には必ず二つの模様があった
これほどまでに絵を綺麗に描けているのに、それだけが幼い子どもの描いた落書きのようだった
｢お母さんとお父さんは好きですか？｣
｢好き!!僕に優しくしてくれるんだぞ!!｣
｢それは良かった｣
｢うん!!･･･でもね、最近は会えてないんだ｣
どうやら彼の記憶は両親が亡くなる前で止まっているようだった。そして、二度と会えない事をヒロも彼女達も伝えていないとみえる
｢ちょっと寂しいけど、我慢してるんだ。偉いだろ｣
｢偉いですね｣
｢撫でても良いんだぞ｣
そう言って頭を差し出した彼は撫でてほしそうだったので、頭を撫でてあげる事にした
｢えへへ･･･｣
彼は嬉しそうに顔を綻ばせた
｢Aくん、良かったら僕とも一緒に暮らしてみませんか？｣
｢え、｣
｢僕も貴方と過ごしてみたいんです｣
｢お泊まりって事か？｣
｢そうなりますね｣
彼の質問に答えると彼は表情を明るくした。そして、立ち上がった
｢ヒロくーん!!お泊まりしても良いー!!?｣
立ち上がった彼はヒロの所まで走って行きながら、お泊まりの事を大きな声で訊いていた
｢お泊まり？｣
｢そう!!れーくんの家でお泊まりするの!!｣
｢れーくん？ゼロの家か。アイツが良いなら、別に構わないぞ｣
｢やったー!!｣
子どものようにはしゃぎ、僕の所に戻って来る
｢良いってさ!!お泊まり!!｣
｢良かったですね。いつにしましょうか｣
｢えーっとな、｣
彼と共にお泊まりの日付を決める事になった
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作者名：空白可能
| 作成日時：2021年12月12日 0時
