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カーディナルはスッと僕から離れて、ヒロの後ろに隠れてしまった
「ヒロくん、帰ろー」
「ああ、分かった。ゼロもお前も来てくれるか?安全な場所で話したい」
今一つ状況が飲み込めていない僕と赤井を連れて、二人は安全な場と言って、二人が住んでいるという家まで案内してくれた
「じゃあ、Aくん。私達は遊んでよっか」
「うん!!遊ぶー!!」
彼女とAくんと呼ばれたカーディナルはリビングの奥でオモチャを広げて遊び始めた
「えっと・・・、カーディナルは、」
「簡単に言えば、記憶喪失だ」
ヒロは彼の事を見ながら答えた
「記憶、喪失・・・」
「ああ。俺も詳細は分からないが、目覚めた時にはそうなってた。見た目通りの年齢より少し下、と言ったところだな」
彼女と共に遊んでいる彼は無邪気な笑顔で、ブロックを積み上げていた。その手には右手は含まれておらず、左手で器用に歪な形を作っていた
「ま、座れよ。ライの事はなんて呼べば良い?」
「赤井で良い。お前は、」
「景光とか、諸伏でも良いか・・・。どっちかで良いよ。呼びにくいなら、スコッチでも良い」
「諸伏くんでいかせてもらおう」
「了解だ。なんだ、どこから話す?」
ヒロは困ったように笑って訊いた
「そうだな。まずはどうして二人が生きているのか、それを聞かせてくれ」
「分かった。俺と明美さんは、さっきも言ったけどカーディナルに助けられたんだ」
赤井の質問に前置きをして、カーディナルがどうやって二人の命を救ったのかを説明してくれた
ヒロは携帯の画面を保護するフィルムを特殊なガラスでカーディナルが作ったものを使用していた。それは自分がノックだとバレた時にカーディナルから渡されたもので、銃弾の威力を軽減する為でもあり、震動を遮断する効果もあったそうだ
「銃弾の威力が落ちて、銃弾が心臓まで届かなかった。それで俺は生き残った。あとはカーディナルが色々手回しして、俺は事実上、死んだ事になった。まぁそこは彼女も同じだな」
二人は事実上、死亡した事になったが、その方が安全に暮らせるという事で、今は別人として生きているそうだ。名字を変えているだけなので、普段通りに呼んでくれれば良いとの事だった
どうりで諸伏と呼ぶ事に引っ掛かりがあるような言い方だと思った
「彼女も同じような仕組みのものを使って助かったそうだ。特殊繊維で作ったシャツを貰ったとかなんとか」
彼女は救急車で運ばれたが、その救急車もカーディナルの手筈の一部であり、彼女の死亡診断書を書いて、彼女は別人としてヒロと同じように日常に溶け込み始めた
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作者名:空白可能 | 作成日時:2021年12月12日 0時