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「カーディナルが教えてくれた場所はどうですか?」
「僕の所も同じだぞ!!あそこは常連に貸し出してる個室があって、美味しいものを食べながらの作業に丁度良いんだ」
「なるほど」
どうりでカーディナルの事をあまり見掛けない理由が分かった気がした
「どれにしますか?」
「うーん・・・どれも美味そうだなぁ・・・」
「ゆっくり決めてくださいね」
「バーボンは何する?」
「僕は、そうですね・・・これとか」
彼にメニューを見せられたので、この店でいつも頼んでいるものを指差した。答えると彼は更に悩んだ様子で顎に手を当てて首を捻っていた
「じゃあ、これにする」
「分かりました」
彼の食べたいものを聞いて、一緒に注文をする。注文したものが来るまで、少しばかり時間があるので彼の事を訊こうと思った
「カーディナルは普段は何を?」
「僕?天才の僕はいつも研究所にいるぞ」
「いつも?」
「さ、最近はお前の監視だけどな!!」
監視と言ったのは、それが本当なのか、それとも彼なりの言葉を選んだ事なのか、彼の特性上、全く分からない
「研究所ではずっと一人で?」
「僕みたいな天才の考えなんて、凡人には分からないからな!!」
「一人なんですね」
「べ、別に寂しくなんかないぞ!!凡人が何人いたところで、烏合の衆だ!!」
強がっているものの彼は一人で研究所にこもる事を寂しいと感じているらしい。しかし、彼の頭はどの程度のものかも分かっていない。能力が無くとも誰かのお気に入りというだけで、コードネームを貰う事もあるだろう。見たところ、ジンには嫌悪されてはいない様子だが、お気に入りとまではいかなさそうだ
「研究所では何をしているんですか?」
「別に凄い事はしてない。薬や何か役立ちそうなものを開発したりしてるだけ。普通だろ」
ひどく冷めた表情で彼は言ってのけた。その時ばかりは流石にカーディナルも組織の人間なのだと認識が出来た
「僕は天才の親から生まれた天才だからな。そのぐらいは普通に出来る」
「天才の親から、」
「そうだ!!僕の両親は凄かったんだぞ!!」
彼は嬉々として天才という両親の話をしてくれた。別の夫婦と共にとある研究もしていたらしくて、組織の中でも一二を争う程の頭脳だったという。しかし、彼の凄かった、という言葉で彼の両親が既に存命ではない事が察せられた
「お待たせしました」
カーディナルの話を聞いている内に注文の品が僕達のテーブルに届いた
「わ、美味しそう」
素直な感想を述べるのも育ちの良さを物語っているのかもしれない
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作者名:空白可能 | 作成日時:2021年12月12日 0時