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慌ててカーディナルを探した


「カーディナル、いますか?」


彼の自室の扉を叩いて声を掛ける。中からの返事はなく、ラボの方にいるのかもと思って、溜め息と共に下を見る。視線の先に僅かながらに赤色のものが付着していた。腰を落とし、それを指でなぞるとよく知るものだった

無防備にも鍵の掛かっていない彼の部屋の扉を開け、彼の姿を探した。ベッドにカーディナルはうつ伏せになっていた


「カーディナル?」


近付きながら彼に声を掛ける。僕がベッドの傍に行き、ベッドに座っても彼は動かなかった


「カーディナル、起きてますか?」


彼の肩を持って、うつ伏せだった彼の体をこちらに向けた。カーディナルは眠っているというには微妙で、気を失っているように思えた

傷の付いた彼の口端に触れる。頬にも、こめかみの辺りにも傷があった。気を失っている彼のシャツのボタンを外す。露になった体にも傷が沢山あった。打撲や火傷、切り傷。上半身だけに留まらず、下半身の方にも傷があった

彼は下に何も穿いていなくて、見えている足にも多くの傷が残されていた。彼の脛には打撲傷が残っていて想像しただけで身震いする。だた痛め付けるだけではなく、凌辱の類いの痕跡、腕に注射痕が複数残っていた

全く手当てがされていなくて、見ているだけで痛々しい姿だった

一度、彼から離れて救急箱を取りに向かった。それを持って、カーディナルのもとに戻り、傷の手当てを始めた。両脛を痛めた状態で、よくここまで歩いて帰って来れたものだ

固まった血を消毒液で取り除き、綺麗にしていく。彼は手当てをしていても目を覚まさなかった。絆創膏を貼って、湿布を貼って、全ての手当てを終えたかと思って、何気なく彼の手に触れた。手の平に触れた彼の指に違和感を感じて、彼の手に視線を落とした

彼の指は全てが紫色に近い色になっていた

何故そんな事になっているのかと思えば、彼の指には小さな点がいくつもあった。それは針で刺したような痕だった。細い切り傷もある。彼の指、小さな手に行われた事を想像して、また背筋がゾワゾワとする

彼の指に消毒液を付けて、指の一本一本を丁寧に包帯を巻いていく。両手に及ぶ傷を覆い隠して、今度こそ手当てを終える。彼を毛布で包み、ラボの方に連れて行く事にした。そこの方が安全だと思ったから

オートロックだという彼のラボの鍵。カードキーは無いが、あの言葉で開くだろうか。そんな事を思ったが、ちゃんと言葉でも開くようになっていて、ラボの中に入る事が出来た

彼をベッドの上に寝かせて、毛布を掛けた

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作者名:空白可能 | 作成日時:2021年12月12日 0時

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