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｢カー、ディナル･･･｣
｢どうした？ここでの目標は達成した。次に移るぞ｣
ベッドから下りたカーディナルは脱がされていたシャツに腕を通しながら話す
｢･･･はい｣
｢元気がないな。もう一人もいけそうか？嫌なら僕一人で行くが｣
｢いえ、大丈夫です｣
彼に返事をして、次の目的地に向かう。その間、彼の事をチラチラと見ていた。彼の首には虫刺されのような痕が残っていた
｢すみません。僕がボーッとしていたせいで｣
｢慣れてるから気にするな。いつも一人でやってる｣
｢いつも、一人で･･･｣
彼は僕がここに潜り込む前から組織に関わっていた。彼女達のように
｢バーボンが気にする事でも無いだろう。僕は天才だぞ、何だって出来る｣
｢･･･そうですね｣
カーディナルが何だって出来たとしても、彼自身の想いとは何も関係が無いはずだ。彼がいくら人殺しに胸を痛めなくとも、進んでやろうとは思っていないはずだ
彼を沼から救い出せる方法を見つけ出したかった
｢さっきと同じやり方で｣
｢本当にそれで良いんですか？｣
｢僕は構わない。薄汚れた体に今更何の躊躇がある？｣
問い掛けられて、僕は何も答えられなかった。彼の体は既に黒く塗りつぶされていて、その色が染み込んでいた。汚れを落としても新品の状態には戻らないように
｢無理はしないでくださいね｣
｢無理なんてしない。そんなもの無駄だ｣
彼は笑うけれど、僕の心が揺らいでいた
｢それじゃ、行ってくる｣
｢･･･お気を付けて｣
カーディナルを見送り、僕は五分後に行動を起こす。彼の声が聞こえる部屋の奥に向かう。甘く誘う彼の声は僕の鼓膜を揺らし、脳を震わせた
仕事を終わらせて、組織に戻る
｢お疲れ様でした｣
｢バーボンもな!!また明日!!･･･バーボン？｣
部屋に入る為に背を向けたカーディナルをしゃがんで後ろから抱き締めた
｢カーディナル。貴方はご自身を汚れていると言っていましたよね｣
｢それがどうした？｣
｢･･･僕も貴方に触れても良いですか？｣
｢ダメだ｣
僕の言葉に彼はすぐに答えた
｢どうしてですか？あの男達は良かったのに｣
｢バーボン･･･っ｣
彼の首筋に舌を這わせるとカーディナルは勢いよく振り返り、僕の事を遠ざけた
｢バーボン、お前は僕の友達なんだ。･･･友達は、そんな事しない｣
僕と彼は友達だから行為を拒む。それが彼が考えている事だった
｢･･･すみません。もうしません｣
｢本当か？｣
｢勿論。許してくれますか？｣
｢今回だけ特別に許してやる!!｣
彼はふんぞり返りながら僕を許してくれた
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作者名：空白可能
| 作成日時：2021年12月12日 0時
