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駐車場に止めていた僕の車で、彼の事を組織まで送る。助手席に座っている彼は携帯をいじっていて無言だった。話し掛けてもぼんやりとした返事しか貰えなかった


「着きましたよ」
「ん。バーボンは帰るのか?」
「はい。一応ながらに表でも仕事がありますので」


そう言うとカーディナルは適当な相槌を打ち、車から降りた


「バーボン、気を付けてな」
「それはお互い様です。それでは」
「ああ、また」


彼と別れて自分の仕事に向かった

自分の仕事を終わらせて、夜更けに家に帰った。シャワーを浴びた後に携帯を確認するとカーディナルから連絡があった。正確に言えば、カーディナルだ、と題名に書かれたメールなのだが。それを押して、内容を確認する


『明日は僕と仕事だぞ。夜の九時に集合だ』


簡素なものだったけれど、カーディナルという事は分かる。組織に帰った時に仕事を貰ったのだろう。再び彼と組む事になるとは思わなかったけれど

彼に了解とだけ返事をする


「カーディナル」


次の日、約束の時間にカーディナルのもとに向かい、声を掛けた


「バーボン!!」


振り返った彼は嬉しそうに笑って、僕の事を見上げた


「仕事ですよね」
「そうだ!!今日も元気に人殺しだ!!」
「何でちょっと楽しそうなんですか」
「バーボンと出掛けるんだぞ!!嬉しいに決まってる!!」


いつの間にか彼は僕との時間を楽しみにしてくれていた。それが人殺しに向かう真っ暗な道のりであろうとも


「今日は僕も後ろに控えてます」
「分かった。僕に何かあったら頼む」
「ええ。任せてください」


今日の標的は二人なので、彼一人に任せる事も出来ない。そもそも彼一人に背負わせる事でもない


「じゃ、行ってくる」
「お気を付けて」


潜入したマンションで彼の背中を見送る。彼は一室の前で立ち止まり、インターホンを押した。そして、出て来た人物に部屋へと引き込まれて行った。その時、彼の目は僕を見て、口元は笑っていた

五分後、僕は部屋の鍵を開け、音を立てないように忍び込んだ。耳を澄ませながら、部屋の奥に進むとギシギシと何かが軋む音と声が聴こえた


「んっ、ぁ・・・っ」


部屋に響く甘い声はカーディナルのものだった


「・・・さよなら」


ふと聞こえたハッキリとした彼の声


「貴様!!何を・・・!!」


その声で自分の置かれている状況を思い出した。彼のいるであろう部屋の扉を開けて、彼に覆い被さる人間に銃口を向けて、迷う事なく引き金を引いた


「バーボン・・・、来ないかと思った」


暗い部屋の中で月明かりに照らされながら言った彼の微笑みはとても綺麗だった

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作者名:空白可能 | 作成日時:2021年12月12日 0時

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