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｢ぅうん･･･なん、か、せまい･･･｣
｢そりゃそうです。僕がいますから｣
彼は寝ぼけているようで、僕のベッドに潜り込んでいた
｢うぅ･･･さむい･･･｣
｢すみません｣
彼が入って来た際に掛け布団を上にあげていたので文句を言われる。謝って布団を下ろす。モゾモゾと動いて僕の傍に寄った彼は眠りに落ちてしまった
｢･･･もう｣
眠ってしまった彼を追い出す事は諦めて、自分ももう一度寝る事にした。子ども体温にも似た温かさに瞼はすぐに閉じられた
次に目を覚ました時、彼はまだ僕の腕の中にいた。気付かぬ内に腕枕をしていた。そして、彼の頭の乗る腕には何かの水気があった
ヨダレでも垂らされたのかと思っていたのだが、そんな悠長なものでは無かった
｢と、さん･･･、かあ、さん････｣
ポツリと彼が溢した寝言。それは幼い子どもが迷子になって両親を求めているような、どうしようもない不安で押し潰されてしまいそうな、そんなか細い声だった
僕の腕が濡れているのは、カーディナルが涙を流していたからだった
彼は無意識にでしか、もう親を求める事が出来なくなっていた。彼の心が完全に壊れていない証拠とも言える
｢･･･僕は貴方の家族ではありませんよ｣
それでも僕は彼の寂しさを少しでも埋められるようにカーディナルの事を抱き締めていた
｢あったかい、｣
抱き締めた効果は多少なりともありとあったようだ
｢ん･･･？｣
彼が目覚めたのは、それから少ししてからだった
｢起きましたか？｣
｢あれ、バーボン･･･？｣
｢はい、バーボンです。僕が間違えている訳では無いですよ。カーディナルが僕のベッドに入って来たんです｣
弁解をすれば、カーディナルは体を起こして、目を擦りながらベッドの周りを見ていた
｢ほんとだぁ｣
あはは、と間延びした笑い声を出す。まだ酔っ払ってるのではないかと心配になる
｢まだ寝ますか？｣
｢ううん、起きる。邪魔した？｣
｢いえ、別に。体温が高くて抱き枕に丁度良かったです｣
｢子どもだって言いたいのかー!!?｣
朝から元気な彼は怒鳴る。どうやら、いつもと変わらない様子なので寝言の事は黙っておいて良さそうだ
｢さて、帰りましょうか｣
｢お、そうだな。顔洗って、朝飯食べたらな｣
朝食付きの宿泊だったらしい。和食の朝食をレストランで食べる事になった
｢美味いな｣
｢和食はお好きですか？｣
｢美味ければ何でも好きだぞ｣
｢そうでしたか。好き嫌いは無いですか？｣
｢無いな。母に好き嫌いはダメだと言われた｣
それを律儀に彼は守っているという
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作者名：空白可能
| 作成日時：2021年12月12日 0時
