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「ジンに合う帽子探し」
「懲りないですね」
「この僕が選ぶ帽子だぞ。嬉しいに決まってる!!」
ジンはそういう人ではないような気もするが、カーディナルが飽きるまでは、このままだろうとも思った
「バーボンは何か無いのか?」
「何かというと?」
「面白い事」
「抽象的過ぎませんか?」
そんな会話をしながらもカーディナルの口元の傷が気になっていた
「カーディナル」
「何?」
「ちょっとこちらに」
彼の手を引いて医務室に連れて行く
「そこに座ってください」
イスに座ってもらい、自分は救急箱を手に取る
「バーボン、怪我でもしたの?」
「僕ではなくて、貴方ですよ」
「僕は別に大丈夫だよ」
「ダメです」
彼の前に立ち、隣の机に救急箱を置いて開ける。消毒液を取り出してガーゼに染み込ませる。消毒液を染み込ませたガーゼを近付けるとカーディナルは嫌な顔をして遠ざかる
「動かないでください」
「・・・嫌だ」
「怖いんですか?」
「怖くない!!」
「それなら動かないでくださいね」
苦虫を潰したような表情をしながらも、彼は諦めたようでジッとしてくれる
「痛い!!もっと優しくしてよ!!」
「すみません。でも、もう少し我慢出来ますよね?」
「うぅ・・・」
怒る彼をなだめながら傷の手当てを行う。固まってしまった血液が彼の口元から剥がれ落ちて、新たに血液が流れて来る
「これで良いでしょう」
絆創膏を貼って手当てを終える
「・・・ありがとう」
「どういたしまして」
お礼を言われるとは思わなくて驚いてしまうが、こちらも返事をしておいた
「さて、この後はどうしますか?」
「ご飯!!」
「確かにお昼の時間ですね」
「そうだろ!!僕が良い所に連れってやる!!ついて来い!!」
笑顔でそう言った彼はイスから下り、僕の手を引いて走り出した。その手を振りほどけないままに僕は彼の小さな背中を小走りに追い掛けていた
「し、閉まってる・・・」
彼が意気揚々と僕を外に連れ出した彼だったが、目指していたお店は閉まっていた。臨時休業と貼り紙を前に彼は項垂れていた
「僕が良い所を教えてあげますよ」
「本当?」
「ええ、本当です。行きますか?」
「お、お前のオススメなら、行ってやらんでもない、かな・・・」
「ありがとうございます。では、こちらに」
落ち込んでいる彼を連れて、自分がある程度行った事のある店に誘った。それなりに良いものを取り揃えている店を選んだ
「いつもこんな所に通っているのか?」
「いつもでは無いですが、静かなので落ち着くんです」
入った店で彼はキョロキョロと辺りを見渡していた
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作者名:空白可能 | 作成日時:2021年12月12日 0時