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｢じゃあ、かんぱーい!!｣
彼は笑顔でこちらにジョッキを突き出した。それに合わせて自分もジョッキを控えめだが突き出して、ジョッキを合わせた
｢んー!!美味い!!｣
｢はっは、そうかい？ほれ、枝豆だぞ｣
｢うおおっ待ってました!!焼き鳥もお願いして良いか？｣
｢おう、待ってろ。お兄さんは？｣
｢お前も好きなの頼めよ。いっぱい食べよう｣
先程の店では門前払いだったので、この居酒屋で沢山食べるつもりらしい。カーディナルはメニューをしている片手に注文をしている
｢ここからここまでくれ｣
｢そんなに食べるのか？｣
｢食べれるって!!一人で食べるつもりもないし!!お前も頼めよ｣
メニューをテーブルに置いて僕にも見せてくれる
｢これとか美味そうだぞ｣
｢･･･特上カルビって｣
｢欲しいものを頼め？今日使うはずだった金が余ってるからな｣
｢言い方。まぁ遠慮しなくて良いのなら｣
｢遠慮なんてするな。僕達は友達なんだから｣
友達だからと言っても、やって良い事と悪い事ぐらいある。それは分かっているのだが、彼の厚意を無下にする訳にもいかず、メニューに載っている美味しそうなものを注文した
｢うはは、もっと頼もう!!オヤジ、アルコールはあと何があるこーる？｣
｢面白いと思ってるんですか？｣
｢面白くないのか!!?｣
心底驚いたような表情をして訊き返されても困る
本当にカーディナルは掴めない人柄だ。それでも僕の中に詰まった息を吐き出す手助けをしてくれているのは確かだった
｢他には赤ワインとかもあるぞ｣
｢お、良いな。ワインをくれ。一番良いやつ｣
｢分かった。ちゃんと払って帰れよぉ？｣
｢大丈夫大丈夫!!｣
彼は注文を増やしていったが、結局のところほとんどを飲み食いしてしまい、食べ残しは無かった。自分自身も注文したものを平らげてしまう。彼の言った通り、この居酒屋は当たりだったようだ
｢うへぇ、呑んだ呑んだぁ･･･｣
｢大丈夫ですか？｣
｢大丈夫だってぇ｣
間延びした返事をするカーディナルはワイングラスを持ったまま寝そうになっていた
｢寝るなら、ホテルに帰ってからにしてください｣
｢そーするー!!｣
ここに来る前に彼の取っていたホテルに顔を出していたので、場所は覚えている。カーディナルが眠ってしまっても大丈夫なのだが、お勘定だけは済ませてほしかった
｢オヤジー、お勘定ぉ｣
｢はいよ。えーっと、合計で･･･十万と五千円だな｣
｢じゅ、十万･･･｣
｢分かったぁ、これー、数えてくれぇ｣
どこからか茶封筒を取り出した彼は僕に茶封筒を渡した
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作者名：空白可能
| 作成日時：2021年12月12日 0時
