2 ページ2
｢バーボン!!今日も来てやったぞ!!｣
カーディナルと友達になってから、彼はよく僕のもとに来るようになった
｢ふふん、この僕が遊びに来てやったんだ。喜べ!!｣
｢そうですね。今日はどうされましたか？｣
｢何か無いと来ちゃいけないのか？｣
｢あ、いえ、別にそういう訳では･･･｣
キョトンとした顔で訊き返されて、返答に困ってしまう
｢あ、でもね、新しいオモチャが、｣
｢おーい、バーボン｣
言葉の途中で僕を呼ぶ声が聞こえた
｢ウォッカ？何かご用ですか？｣
｢ああ、この辺りでカーディナルの奴を見掛けなかったか？｣
｢カーディナル？カーディナルならここに･･･｣
と振り向いた先にカーディナルの姿は無かった。先程まで話していたはずの彼の姿が無くなっていた
｢そこにいたのか？｣
｢先程までいましたが、どうやら急用のようで｣
｢そうか。また見掛けたら教えてくれ｣
そう言ってウォッカは去って行った
｢行きましたよ｣
｢･･･ほんと？｣
｢本当です｣
物陰の隅から顔を出したカーディナルに答えると、そそくさと物陰から出て来る
｢危なかったぁ｣
｢何がですか？｣
｢何でも無い!!ジンの帽子を取ろうとしたとかしてないから!!｣
かなり子どもじみた自白をもらったが、僕からジンに告げ口をする事でも無いだろう。ジンがそこにいなければの話だが
｢じゃ、僕はもうもど、｣
｢よぉ、カーディナル。元気か？｣
カーディナルの背後に音もなく現れたジンは彼に問い掛ける。ジンの声に肩を揺らした彼は、ゆっくりと振り向いてジンの顔を見上げていた
｢あばばば･･･っ｣
｢来い｣
｢ああああッいやだぁあっ｣
ジンに捕まって彼は引きずられて行ってしまった。あの二人はあれで仲が良いようにも思える。大体ジンが子どもの相手をしているというだけで珍しい
カーディナルの場合、ジンとは違った部分で分からない事が多い。友達という関係になって数日だが、カーディナルが優秀な人物にはとても思えなかった
｢バーボン!!また来てやったぞ!!｣
次の日、口の端に傷を作ったカーディナルが僕のもとにやって来た
｢カーディナル？その傷は？｣
｢昨日、ジンに叩かれた。アイツってば酷いんだぞ。帽子を取ろうとしただけなのに、物凄く怒るんだ｣
｢ジンから帽子を取ろうとするだけでも大事ですよ｣
｢そうか？折角、この僕が帽子を新しくしてやろうと思ったのに｣
ブツブツと文句を言いながら彼は手に持った端末をいじっていた
｢何を見ているんですか？｣
端末をいじる彼に訊いてみた
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 36人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：空白可能
| 作成日時：2021年12月12日 0時
