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その後に、彼がぞんざいな扱いを受けるのは、時間の問題だったと言う
｢やっぱり一軒家の方が良いのかな･･･｣
｢今までは一軒家では無かったんですか？｣
｢実家暮らしだったんですけど、家が火事になっちゃいまして、全焼です。ついでに両親も一緒に燃えました｣
微かに笑った鳥灯さんだったが、その笑みは哀しみに彩られているように見えた
｢･･･すみません。先程から｣
｢いえ、お気になさらず。自分の事を話せる機会なんて、あまり無いですから、良かったです｣
｢そうですか？また何かあれば、僕に話してみてください。何か力になれるかもしれません｣
彼は今も昔も苦労をしている。そんな人は、この世に大勢いる。その一人一人を助けるような力は、自分に携わっていない
しかし、目の前で困っている人ぐらいは、助けても良いだろうと考えた
｢ありがとうございます。その時は、また｣
｢はい。では、今日はこのぐらいで｣
｢分かりました。それでは、さようなら｣
頭を下げた彼に、自分も頭を下げた。そして、彼に見送られて、マンションから離れた
その事件以降、鳥灯さんと出会う事は無かった。ただ、コナンくんから、話は聞いていた。度々事件に巻き込まれているらしく、その度に疑われたりしているようだ
｢鳥灯さん、元気にしてる？｣
最近、会っていないので、鳥灯さん自身の事を訊いた
｢･･･多分。鳥灯さんの表情って、読みにくいんだよね｣
｢そうかな？｣
僕といる時は、笑ったり哀しんだりしていたので、読み取りにくいような事は無かった
｢何だか、いつも哀しそうな表情してて、そこからあんまり変わらないんだよ｣
｢そっかぁ｣
｢あ、今度、鳥灯さんと一緒に晩御飯を食べる約束してるんだけど、安室さんも行く？｣
コナンくんの誘いを断る理由も、特に無かったので、一緒に行かせてもらう事にした。鳥灯さんの様子も見たかったから
｢じゃあ、二日後ね｣
二日後に晩御飯を食べる約束をして、コナンくんと別れた
｢･･･あれ？｣
ポアロでの仕事を終えて、外に出ると反対側の歩道に辺りを見渡す、見覚えのある人がいた。急いで、その人の所に向かった
｢鳥灯さん!!｣
｢あ、え、安室さん･･･？｣
｢どうしたんですか？こんな所で｣
｢え、ここって、｣
｢ポアロの近くですよ｣
再び辺りを見渡した彼に言った
｢どうしたんですか？｣
｢あ、あの、えと･･･｣
｢言いにくい事ですか？｣
｢･･･はい｣
視線を落とした鳥灯さんは、小さく答えた
｢マンションまで、送りましょうか？｣
問い掛けると彼は、首を横に振った
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作者名：空白可能
| 作成日時：2021年4月7日 0時
