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狭い車内での行為は、体を痛めてしまう可能性があったけれど、そんな事を気にしていられる程、自分自身に余裕があった訳では無い
目の前にいる鳥灯さんが、とてつもなく綺麗に思えて、それを汚したくなった
彼の口から溢れる声に興奮を覚える。それは彼女が彼から、引き出していた声とは違って聞こえて、鼓膜を震わせ、脳内に響き渡る。彼の吐息が自分に掛かると、頭がボーッとして、もっと彼を求めたくなる
もっと沢山、彼に触れたい。こんなにも狭い車内で、行為を始めた事を後悔した
事後、鳥灯さんを部屋に招き、お風呂に入ってもらった。一緒に入るか、と誘われたが流石にやめておいた
｢安室さん｣
｢どうかしましたか？｣
お風呂場から声を掛けて来た鳥灯さんに返事をする
｢その、服とか借りても良いですか？洗って、返すので｣
｢あ、そうですよね。すみません、気が回らなくて。準備しますので、湯槽にいてください｣
｢はい。ありがとうございます｣
彼に入る服、とは言っても、鳥灯さんと僕では身長差や体格の差が歴然であり、どの服でも入るだろう。その中でも小さめのシャツを選んで、タオルと共に彼のもとに持って行った
｢鳥灯さん、ここに置いときますね｣
｢分かりましたぁ｣
返事を聞いてから、ドアの前に服とタオルを置く。風呂場から離れると、ドアの開く音が聞こえる。微かな鼻歌も聞こえて、彼が少しばかり、機嫌が良いように感じる
｢お風呂、ありがとうございました。安室さんも入っては？｣
｢そうします。僕が出て来るまで、待っていますか？｣
｢んー、そうします。どうせ、暇なので｣
自室に戻ったところで、やる事も無いので、彼はこの部屋にいる事を選択して、湯冷ましにベランダに出ていた
そんな彼を尻目に、僕はお風呂に入った
あまり長く入るつもりもなくて、シャワーを浴びて、すぐに風呂場を出た。静かに風呂場を出て、彼の後ろ姿を眺めた
ベランダで空を見上げている彼は、左の二の腕を右手で擦っていた。そう言えば、彼は風呂場から出て来た時、暑かったのか、シャツの袖を肩まで上げていた。しかし、それは右の方だけで、左は下ろしたままだった
もっと言えば、彼が服を着ていない状態を見た事が無かった。それは他人である為、普通ではあるが、少し気になってしまう
｢鳥灯さん｣
｢あ、安室さん!!?もう上がったんですね!!｣
声を掛けると思ったより驚かせてしまったようで、肩を揺らした鳥灯さんは、こちらを振り返って言った
無意識の行動だとは思うが、振り返る際に彼は、左腕を庇って後ろに隠していた
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作者名：空白可能
| 作成日時：2021年4月7日 0時
