38 ページ38
マンションから飛び下りた男性は、マンションの住人では無かった事だ。わざわざ、こんなマンションに足を運び、飛び下りる理由が分からない
｢大丈夫ですか？｣
｢･･･なんとか｣
疲れ果てている彼に声を掛けると、弱く笑って返された
｢まさか、こんな事まで起こるとは思いませでした｣
｢ええ。僕も思いもしませんでした。･･･言っておきますが、鳥灯さんのせいではありませんよ｣
｢･･･そう、ですね｣
鳥灯さんは返事はするものの、その表情は暗い
今回の事件も、自分のせいだと思っているに違いない。人が目の前で亡くなる事に、慣れて来たとは言え、飛び下りた人が、目の前に落ちて来るというものは、あまり無い出来事であり、気分の良いものでは無い
横目に見下ろした彼の手は震えていた
｢鳥灯さん、良ければ僕の家に来ませんか？｣
｢えっ｣
｢僕が鳥灯さんの事が心配なんです。だから、一緒に帰りませんか？｣
｢･･･安室さんが良いのなら、是非とも｣
彼を連れて、自宅に帰る事にした。自宅に帰る際、鳥灯さんはとても静かで、アパートに向かう車内で彼は、窓の外をずっと見詰めていた
｢こちらです｣
自分の部屋までを案内しているのだが、彼は辺りをキョロキョロと見ている
｢なんだか、意外ですね｣
｢そうですか？｣
｢はい。安室さんは、綺麗で大きな一軒家に住んでるのかなって、思ってました｣
｢一軒家だと色々大変ですからね｣
今の自分の状況から、メリットデメリットで考えるのであれば、一軒家は避けた方が身の為だ
｢そうなんですか？｣
｢ええ。それにここも、一人暮らしには良い環境ですよ｣
｢なるほど｣
彼に説明をしながら、自室の前まで歩いた
｢ちょっと待ってくださいね｣
鍵を取り出して、ドアを開ける
｢どうぞ｣
｢あ、お邪魔します｣
ドアを開けて、彼を中に入れる
｢この広さなら、落ち着くかも･･･｣
｢でしょう？｣
｢はい。･･･僕もこのぐらいの部屋に引っ越そうかな。見回っても良いですか？｣
｢お好きなだけ、どうぞ｣
引っ越し先が決まっていない鳥灯さんは、部屋の参考にするのか、部屋をぐるぐると回り始める。ベランダに出たり、収納を見たり、色々と観察しているようだ
｢ここって空き部屋とか、無いんですかね｣
｢うーん、僕が入った頃には、無かった気がしますね。今はどうか分かりませんが｣
｢そうですかぁ･･･｣
かなり間取りを気に入ったのか、彼は悩んでいた。そして、空き部屋があるかどうかの確認をして、空き部屋があれば、そこに住むと結論に出していた
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 161人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：空白可能
| 作成日時：2021年4月7日 0時
