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「あっれ、もう起きてたんですか?」
入って来たのは、僕達を拘束したであろう彼女だった。嫌みったらしい笑みを浮かべて、彼女は訊いて来る
「僕達をどうするおつもりで?」
「私は安室さんに手出ししませんよ。安室さんは、そこで見ていてください。鳥灯くんが、可愛く鳴くところ」
「なっ」
僕に笑い掛けた彼女は、ベッドに繋がれた彼のもとに歩く。そして、ベッドのいる彼の上に乗り、頭に被せられている黒い袋を取った
露になった鳥灯さんの顔には、目を閉じた状態で、透明なテープがぐるぐると巻かれていた。そのせいで、目が開かなかった事が分かる
「おはよう、鳥灯くん」
「貴女は、ど、どうして、こんな事・・・っ」
「どうしてって、鳥灯くんの事を愛してるからよ。大学で出会う前から、ずーっとね」
「それって、どういう、」
彼が訊き終える前に、彼女が口を塞ぐ。二人はキスを交わし、抵抗が出来ない鳥灯さんは、されるがままで、抵抗する事の出来ない彼を彼女は、襲い始めた
目の前でされる行為に、目を逸らした。その行為は二人だけのものでは終わらず、僕の所にもそれはやって来た
彼女が僕に手を出す事は無かったが、鳥灯さんが彼女の言いなりになってしまい、一方的だが、彼は僕と行為を始めてしまった
そんな日が続き、たまたま彼女が帰って来る気配が無かった時の事だ
「あむ、ろ、さん・・・」
「・・・何でしょう?」
「ごめん、なさい・・・。僕のせいで、」
「貴方は悪くありません」
彼女に対しての警戒心が少なくなっていた僕のせいだ。鳥灯さんを巻き込む形になってしまった。元々こういう腹積もりだった、とも考えられるが
「安室さん、だけでも、逃げてください・・・。今、そっちに行くので・・・」
苦しそうに息をする彼は、どうやら正気を失っていたという訳では無かったようだ。薬の効果が切れて来たのか、彼はゆっくりとだが、ベッドの上を這いずって来る
鳥灯さんの拘束具は、両手首が別々に、鎖に繋がれている程度で、なにより僕の位置まで届く長さだ
まだ力が入らないのか、彼はベッドから転げ落ちる
「だ、大丈夫ですか?」
「大丈夫、です・・・」
弱々しく返事をする彼は、僕の足元まで来て、僕の拘束具に手を伸ばす。拘束衣のような拘束具なのだが、ベルトが簡単に解けそうにも無い
弱っている彼には、難しいものだ
「・・・無理はしないでください」
「少しぐらい、大丈夫ですよ」
僕の声も聞かず、鳥灯さんは拘束具を外そうとする。次第にその手は、赤く染まっていた
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作者名:空白可能 | 作成日時:2021年4月7日 0時