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「・・・帰りましょう。安室さん」
「そうしましょう」
変な気を起こす前に、僕達は診療所に戻る事にした
「では、僕はそろそろ帰りますね」
診療所に戻ると、次の仕事までの時間が迫っていた
「いつも来てくれて、ありがとうございます」
「いえいえ。まだ暫くは安静にしてくださいね」
彼の体調は良くなったとは言え、元の生活に戻せるかと言われると微妙だ
「分かりました。・・・でも、安室さんは、もう僕に関わらない方が、良いかもしれません」
「それは、どうして?」
「僕といると安室さんまで傷付くんです。僕は一人でも、平気ですから」
退院したら田舎に戻ると話す彼は、何かを諦めたような表情を浮かべていた。今回の事が、あまりにも重くのし掛かり過ぎたのだろう
「あまり思い詰めないでくださいね」
「大丈夫ですよ。もう誰にも迷惑を掛けないので。それでは、さようなら」
鳥灯さんは、笑って別れの挨拶をする。僕には、気の利いた言葉を発する力は無かった。彼の思うように、生きやすい世界は訪れないのかもしれない
このまま彼を放置すれば、最悪の未来が待っている事なんて、簡単に想像する事が出来るというのに
「・・・さようなら。また会いましょう」
「はい」
鳥灯さんに見送られて、診療所を後にした。それから数日の間、診療所に連絡を取り、鳥灯さんの事を訊いていた
そして、彼は診療所を出たという連絡を受け取った
「こんばんは」
「あ・・・、安室さん・・・」
「奇遇ですね。またこんな場所で出会うなんて」
彼は町に帰って来ており、自分から会いに行くよりも先に、事件現場で彼と出会う事になった
「すぐに解決しますよ。大丈夫です」
「・・・はい」
事件はすぐに解決したのだが、彼が現場にいると、彼はいつも被害者の人物と、何かの関わりを持っている
今回もそうだ。被害者の人物と彼は顔見知りだった
被害者と入院していた病院で、ひと悶着あったようで、私怨の方向が考えられた。しかし、彼には犯行が無理だという事は、すぐに証明する事は出来た為、容疑者から外れた
「はぁ・・・」
「お疲れ様です。飲みますか?」
「あ、ありがとうございます」
溜め息を吐いていた鳥灯さんに声を掛けて、自販機で買ったオレンジジュースを手渡した。彼は、それを受け取って、お礼を言ってくれる
「・・・どうして、こんな事になるんでしょうね」
「僕には分かりません。ただ鳥灯さんのせいとは、一概には言えないと思いますよ」
不自然な程に、彼の周りの人が亡くなる。それは、どこか仕組まれているような感じもしていた
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作者名:空白可能 | 作成日時:2021年4月7日 0時