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それはあの男が、鳥灯さんに何かの薬品を投与している場面が映った事だ。それを辿れば、芋づる式に、非合法な事が出て来るはずだ

二週間程が経った今、やっとの事で、男の事を検挙する事が出来るはずだった

深夜に数名でマンションに突入した時は、現行犯という事で、男の身柄は拘束する事に至り、男の身柄を部下に任せて、自分は部屋の奥に進んだ

寝室に入ると、そこには映像で見ていたような光景が広がっていた。機械音と彼の甘ったるい声。彼の事を置いて、周りに設置してあるカメラを停止させていく

カメラを停止させた後、ベッドに拘束されている彼に近付いた。目隠しをされている彼には、僕の事を認識する事は出来ていない

声を掛けず、鳥灯さんに手を伸ばして、頬に触れた。その瞬間だった


「だ、だれ・・・っ」


体を震わせた彼は、僕があの男では無いと認識したのだ。物音も声も無く、男を拘束したので、気付くはず無いにも関わらず、彼はあの男とは違うと判断したのだ


「さ、さわ、らないでっ」


あの男に触れられても、何も無かったというのに、僕が触れると彼は怯えて、僕の手を拒絶した

僕が拒絶されるのも、無理はない。ただ、少し嫌な気分になっただけだ。あの男が良くて、僕がダメな事に


「な、に、やだ、やっ」


彼に眠ってもらおうと、縛り付けられている彼の腕に、麻酔の入った注射器を刺した。これも非合法な事ではあるが、殴って気を失わせるのも気が引けた


「ひ、ぁ・・・っ」


針を刺しただけでも、彼の体は反応を示す。そして、麻酔を流し込めば、苦しそうな声が、彼の口から漏れる。少しの間、抵抗を見せていた彼だったが、眠りに落ちたようで、動かなくなった

彼につけられている目隠しと拘束を外して、眠っている事を確認し、スーツのジャケットで彼を包み、外に出た


「降谷さん」
「風見、病院の手配は?」
「出来ています。運びますか?」
「頼む」


彼を病院に運び、彼の状態が安定するまで、逮捕した男に事情聴取をしようと思ったのだが、逮捕した男が入院する事になっていた


「どうやら、連行している時に暴れたようで、怪我を負い、今は病院にいるようです」
「どこの病院だ?」
「鳥灯 Aさんと同じ病院です」


鳥灯さんの病室を用意していたという事もあって、すぐに入れる病院がそこしかなかった。そんな言い訳を聞きながら、男の状態を訊く

大した怪我では無いが、一日は安静という事で、話を聞くのは明日になるという。男の事情聴取は、風見がやってくれると言うので、自分は鳥灯さんの病室にいた

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作者名:空白可能 | 作成日時:2021年4月7日 0時

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