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「何ですか?これ」
「クマです」
「いや、それは分かるんですけど・・・」


クマのぬいぐるみを抱えた鳥灯さんは、困ったような顔をする


「すみません、突然。迷惑ですよね」
「あ、いや、えっと、」


そうです、とは頷けない彼の性格が悩ましい


「友人に貰ったのですが、この手のものを置く場所がなくて・・・。鳥灯さんに預かっていてもらいたんです」
「そ、そういう事なら・・・」


クマのぬいぐるみを受け取ってもらい、それを彼の住む部屋の中に置いてもらう。数日の内に何が問題があれば、手を打てば良い。何も無ければ、回収という手順を踏む事にした


「暫くすれば、引き取り手も見付かると思うので、それまでお願いします」
「分かりました」


彼は特に疑う事も無く、クマのぬいぐるみを受け取ってくれた


「・・・盗聴器の感度は良好。カメラも、映っているな」


クマのぬいぐるみには、盗聴器と小型のカメラを取り付けている。自宅に戻り、鳥灯さんの部屋の中の様子を見る。そこには、寝室であろう部屋が映っていた。部屋全体が見やすく、正面に彼の眠るベッドが見えている

寝室は暗く、彼は隣室で何かをしているようだ。物音を高性能なマイクが拾って、耳に聞こえていた

暫く聴いていると、彼の声と別の声が聴こえる。そして、寝室の扉が開いた。電気が点けられ、彼とあの男が映像に映し出される。二人がキスをしている事から、あの男が彼の恋人という考えで良さそうだ

二人の行為が始まる。それだけなら、別に普通で、他人がとやかく言う権利は無い。しかし、事態は自分の思っているよりも深刻だった

二人の行為が終わった後、鳥灯さんの事を男がベッドに縛り付け、そういう機械を使って、凌辱するという、見ていて不快になるものだった。もっと言えば、その様子を男は寝室に設置したビデオカメラで撮影していた

これを非合法かと問われれば、微妙な範囲だ。合意の上なら、罪にはならない。不特定多数の人間が、彼の事を見れる状態にあった場合は、罪に問える

罪に問えるような要素を探してみたが、今回のものでは見付ける事は出来なかった

しかしながら、こういう映像を撮影している場合、ネットなどにアップロードしている可能性がある。その線を探る為、鳥灯さんと男の事を監視しながら、罪に問えるようなものを探した

探している内に経っている日々の中で、寝不足の原因、過激になる男の異常な行為が、着実に鳥灯さんを衰弱させていた

十日ほど、男を見張っていて、ようやく決定的なものを見付けられた

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作者名:空白可能 | 作成日時:2021年4月7日 0時

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