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「じゃあ、ここで泣き喚けば、子どもだと認識してくれますか?二人を殺さないでーって」
「さぁな」
「理不尽ですね。ま、良いですけど」
そんな返事をしながら、バーボンさんの事を見る。どうやら、関わってほしくないらしく、視線を逸らされた
今の自分に出来る事は無いので、別にそれで良かった
「俺は、キュラソーさんでも探して来ますよ」
この場所にいても仕方が無いと分かっているので、 適当な理由をつけて、さっさと東都水族館に行こうと思った
「おい、モヒート」
「なんで、」
何ですか、と訊く前に塞がれた口。口の中にぬるりとしたものが、入って来る
「逃げんじゃねぇぞ」
唇を離したジンさんが言った
「・・・それは、どうでしょうね」
笑って返し、倉庫を後にした。その時にチラリと横を見れば、見知った顔が、こちらを見ていた。それを無視して、水族館に向かった
「さてと、今の体じゃ何も出来ないからっと・・・」
水族館にやって来たところで、今の自分に出来る事は無い。キュラソーさんを助ける事も、子ども達を助ける事も、何も出来はしない
ジンさん達は来ていないし、大きな騒ぎも起きていない。自分が行動するには、まだ早い。そんな事を考えながら、東都水族館を暇潰しに歩き回る
暫く待っていると、騒がしい声が聞こえて来る。人が集まる前に、水族館から抜け出して、人の少ない暗がりを歩いた
誰もいない、誰も見ていない場所で、座り込んだ。座り込んで、少しの間、ボーッとしていると、携帯が鳴った
「もしもし?」
『どこにいる』
「東都水族館ですよ」
『キュラソーの乗るゴンドラに乗れ』
「公安が一緒にいるんでしょう?無理ですよ」
通話相手のジンさんに言えば、ベルモットさんと合流するように言われて、ベルモットさんのいるレストランに向かった
「こんばんは」
レストランにいたベルモットさんに声を掛けて、向かいの席に座った
「あら、貴方のお仕事は?」
「今のところは、ありませんよ」
「そう」
「もうすぐであるので、少ししたら出ますね」
「ええ」
ベルモットさんは、何も疑う事も無く、頷いて返してくれた。それから、ベルモットさんの顔を眺めて時間を潰して、携帯で時間を確認する
「そろそろ行きますね」
「気を付けて」
「・・・はい。ありがとうございます。ベル姉様」
こちらも見ずに彼女は言ったけれど、俺の言葉にも何も言わなかったけれど、別に構わなかった
人のいない場所、先程、見付けた場所に向かい、手元にある薬を見詰めた。そして、それを口に入れ、呑み込んだ
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作者名:空白可能 | 作成日時:2020年11月11日 21時