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｢まだ、いたんですね｣
｢･･･すみません｣
仕事で忙しい安室さんが、まだ室内にいた事に驚いての言葉だったのだが、嫌みに聞こえてしまったようで、彼は静かに謝った
｢体は大丈夫ですか？｣
体を起こした俺の傍に来た彼が問い掛ける
｢大丈夫ですよ。柔じゃないみたいので｣
回復が早いのか、何なのかは分からないが、大した事は無い。あれほど乱暴にされたのも初めてだが、付き合っていた人が、耐えられるようにしてくれたのだろう
｢霧花くん。本当に、すみませんでした｣
｢気にしてませんよ｣
返事をすれば、彼は俺の事を見る
｢大丈夫ですって。別に安室さんが、初めてな訳でも無いですし｣
ジンさんとも、薬付きでやったのだから、彼との行為は気にする程の事でも無い。彼も人間なんだな、と思うぐらいだ
｢服、取ってもらえませんか？｣
｢分かりました｣
彼は頷き、服を取って来てくれる
｢これで、良いんですか？｣
｢はい。ありがとうございます｣
彼が取って来てくれた服を受け取り、立ち上がって、それを身にまとう。それは自分の体よりも、少しばかり大きいもので、安室さんは不思議そうに見ていた
｢大きいですね、その服｣
｢まぁ、そうですね｣
｢動きにくくありませんか？｣
｢そうでも無いですよ｣
彼から飛んで来る質問に答えながら、上下の衣服を着る
｢それで、今何時か分かりますか？｣
｢えーっと、午前の十時ですね｣
｢･･･遅刻かぁ。また怒られる｣
十時ともなれば、学校に行くのも面倒だった。このまま休んでしまっても、問題は無いかもしれない
｢送りましょうか？｣
｢いえ、今日はもう休みます｣
そもそも学校に行かなくても、勉学はあるので、中学生を卒業して、高校に入る事が出来れば、それで良い。小学校なんて、何もしなくても卒業する事が出来る
｢そうですか･･･｣
｢そう言えば、安室さんは何でここに？お仕事は良いんですか？｣
｢今日は休みです。だから、貴方の様子を見ておこうかと｣
この人でも休みがあるのか、そう思いながらも、外の様子を見た。明るいベランダに出て、光を浴びる
｢･･･良い天気｣
澄み渡った青空。陽の光が気持ち良い
｢好きなんですか？空｣
俺の後ろに立った安室さんが問い掛けた
｢今は好きですよ。昔は大嫌いでした｣
｢どうして？｣
｢陽の光を浴びても、皮膚が痛くならない。光合成が出来てるって感じがします。俺って、昔はちゃんとアルビノの症状があったんですよ｣
陽の光を浴びれば、日焼けは火傷のようになり、目も悪かった
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作者名：空白可能
| 作成日時：2020年11月11日 21時
