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「私が何を求めているか、分かりますか?」
「組織の情報。とは思いますけど、今は良い情報、無いですよ」
嘘の情報を教えたら、後が怖いので、止めておこう
「あー、そうだ。俺のコードネーム、モヒートなので、覚えておいてくださいね」
「なるほど。仕事の時に、その名前を聞いたら、気を付けるとしよう」
「そうしてください。そうだ、晩御飯でも一緒に食べましょうか」
色々と買い物に出掛けて、話をしているだけで、夜になってしまっていた。今日のお礼に晩御飯に誘えば、沖矢さんは頷いて返した
「じゃあ、少し待っててくださいね」
簡単なものを作って、テーブルに並べる。今日は椅子も買ったので、奥の部屋で食べる必要も無いだろう
「沖矢さーん、出来ましたよー」
「今行く」
奥の部屋で待っていた沖矢さんに声を掛けると、すぐに返事が返って来る
「凄いな」
「そうですか?そっちに座ってください」
「ああ」
新しく買った椅子に沖矢さんを座らせて、 自分は向かいに座る
「そう言えば、沖矢さんって、何を基準に喋り方を変えてるんですか?ちょいちょい変わるじゃないですか、気になってるんですよ」
「ああ、それは雰囲気と周りに人がいるかどうかで、決めているな。今は君しかいないから、こうして話している」
見た目の雰囲気で、呑み込まれる事でもあるのだろうか。今思えば、安室さんも三つの顔を持つ人だった
この世界の人間は大変だ。あちらこちらで、色々な顔を持っている。まるで、この世界にいる皆が皆、その辺にいた情報屋のように感じる
まぁあそこまでの人間は、この世界にいないと思うけれど
「ま、自分を見失わないように、気を付けてくださいよ」
「君もな」
「俺は大丈夫ですよ」
「そうだと良いがな」
俺は変わらない
自分を見失う事なんて無い。それほど複雑な人間では無いから。俺は単純だ。善か悪か、危害の有無、損得、好きか嫌いか、そんな二択で決まる
多くを望まない
「いただきます」
「いただきます」
手を合わせて言った俺に続いて、沖矢さんも同じように言い、晩御飯を食べ始める。流石に無言で食べる事は無かったが、世間話が多かった
日常生活の事、学校の事、周りで困った事は無いか
「気になる子はいないのか?」
「いきなりですね」
在り来たりなものばかりだったのだが、沖矢さんは何を思ったのか、変な事を訊いて来た
「いないのか?」
「うーん、同級生にはいませんね。今、お付き合いするなら、大人の方が良いです」
「それは何故?」
この話題を広げるつもりなのか、沖矢さんは、更に訊いて来た
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作者名:空白可能 | 作成日時:2020年11月11日 21時