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「何でしょう?」
「・・・いえ、何でも」
笑顔で訊いて来る沖矢さんに、そう言って、次の場所に向かった
「どれが似合います?」
「私にセンスを求めないでください」
耳にピアスを当てて訊いたのだが、好ましい返事は貰えなかった
「ピアス、開けるんですか?」
「マグネットのピアスの方が良いですかね?」
「貴方はピアスをするんですね。小学生では無かったですか?」
「小学生でも、今時はしますよ。知りませんけど」
それに、昔はしていたので、たまたま目についたので、こちらの世界でも、つけてみようと思った
「どの色が良いですか?」
「そうですね・・・。赤色が良いですね」
「やっぱり。じゃあ、赤色のこれにします」
「それ、マグネットでは無いですよ?」
俺が手に取ったものは、普通のピアスで、耳たぶに、穴を開けないといけないタイプのものだ。穴を開けるピアッサーも買う事にした
「沖矢さんが、開けてくださいね」
「良いんですか?」
「自分でやるの、面倒なので」
そんな事を話しながら、買い物を終えて、沖矢さんに部屋まで運んでもらう
「どうぞ」
「お邪魔します」
沢山の荷物を持ってくれている沖矢さんに、部屋に入ってもらい、玄関のドアを閉めた
「どこに置けば?」
「奥の部屋にドーンと置いといてください。お茶、入れますので、少し待っててください」
手伝ってもらって、何もお礼をしない訳にもいかないので、取り敢えずとして、お茶を入れる
「お茶です」
「ありがとうございます。一人暮らしなんですよね」
「はい。一人暮らしには、丁度良い大きさの部屋でしょう?」
辺りを見渡している沖矢さんに訊く
「確かにな。さて、これからはどうするんですか?」
「まずはピアスの穴でも開けましょう」
買い物袋から、ピアッサーを探し出して、沖矢さんにそれを渡した。彼はそれを受け取り、中に入っているものを取り出していた。自分もヘアクリップで髪を留め、穴を開ける所を綺麗にして、準備をする
「じゃ、お願いします」
「背徳感が凄いな」
「今更でしょう。あ、右耳だけで良いですよ」
「分かった」
沖矢さんの手が耳に触れて、ピアッサーが耳たぶに当たった
耳に音が聞こえて、ちゃんと開けてもらえたらしい
「綺麗に出来ました?」
「分からん」
「分からんって・・・。まぁ良いです。ありがとうございます」
耳に少しだけ触れて、ちゃんとある事を確認して、沖矢さんにお礼を言った
「何か今日のお礼にしたいのですが、何かご要望は?」
散らかったものを片付けながら、沖矢さんに訊いた
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作者名:空白可能 | 作成日時:2020年11月11日 21時