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｢モヒートですって、俺のコードネーム｣
｢縛り付けたいんでしょうね。この組織に｣
それほど重要視される事でも無いはずだが、ある程度の計画を立てて、実行に移す程度の能力を持っている子どもというのは、使い勝手が良いだろう
｢チョーカーは苦手ですか？｣
｢少し息苦しいです。した事が無かったので｣
生まれて初めて、首輪をつけた気がする。相手につけようと思った事はあっても、すぐにダメにしてしまいそうだったので、やめておいた記憶がある
こんなにも、落ち着かないものなら、つけなくて正解だ
｢モヒート、行きますよ｣
｢あ、はい｣
自分が立ち止まっている間に、先に歩いていってしまっていた安室さんを追い掛けた。隣まで行くと、立ち止まってくれていた彼は歩き始める
｢そう言えば、初めて呼んでくれましたね｣
｢何をです？｣
｢俺の事です。ずっと呼んでくれなかったじゃないですか｣
安室さんは、俺の名前を一切として呼んでいなかった
｢･･･そうでしたっけ｣
｢はい。これからは、ちゃんと呼んでくださいね｣
｢分かりました。霧花くん、で良いですか？｣
｢それで良いですよ。名前呼びなんて、そんな仲でも無いですから｣
それに名前で呼び合うのは、苦手だった
｢な、何ですか？｣
急に俺の手を掴んだ彼に訊く
｢いえ、ただ手を繋ぎたかっただけですよ｣
｢そう、ですか･･･｣
｢行きましょう｣
｢･･･はい｣
手を引かれて、ゆっくりと歩き出す。彼の車に辿り着くまで、話す事は無くて、車に着くと繋がれていた手が放された
それに少しばかり寂しさを感じる
｢どうかしましたか？｣
｢何でも無いです。帰りましょ｣
そう言って、安室さんに笑い掛け、彼が開けてくれたドアから、助手席に乗り込んだ。そして、彼も運転席に回り、乗り込んだ
｢寝てても良いですからね｣
｢そうします｣
シートベルトを締めて、窓に頭を乗せる。目を閉じれば、車が静かに動き出すのを感じた。眠りについて、暫すると車が止まった気がして、目を覚ます
｢あ、起きました？着きましたよ｣
丁度、安室さんが助手席に回って、ドアを開けたところだった。俺に声を掛けて来たので、頷いて返した
小さく欠伸をして、助手席から出る
｢大丈夫ですか？｣
｢はい。大丈夫です｣
彼の質問に答えて、歩き出そうとすれば、腕を掴まれる
｢部屋で、少し確かめさせてもらっても？｣
｢構いませんよ｣
そう答えて、自分の部屋まで歩いた
彼はその間も、俺の様子を見ているようで、ずっと視線を感じていた
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作者名：空白可能
| 作成日時：2020年11月11日 21時
