18 バーボンside ページ18
｢保険金を目当てに、か｣
その当時の事はあまり思い出したくはないが、調べれば何かしらの事は、出て来るだろう
一旦、彼の所に戻ろう、そう思うまでに時間は掛からなかった。自室に戻り、ベッドの上で眠る彼を見下ろした
｢ん･･･、あれ、ここは･･･｣
｢目覚めましたか？｣
目を開け、声を漏らす彼に訊く
｢お陰様で。い、｣
｢体は起こさなくて良いですよ。寝ててください｣
体を起こそうとした彼にそう言って、寝ていてもらう
｢訊きたい事があるのですが、よろしいですか？｣
｢どうぞ｣
あっさりと彼は承諾した
｢･･･親を殺した、というのは本当ですか？｣
｢間接的に、です。俺は手を下していない｣
｢それは、どうやって？｣
｢前に住んでいた場所に、指名手配犯がいたので、その人を使いました｣
ジンから聞いた話に加えて、詳しい話を聞けた
指名手配犯が、彼の事を信用させた上で誘拐しようとしていたらしく、その指名手配犯に、彼は家族の事を話して、殺すように仕向けた
そして、その犯人から逃げるフリをして犯人を正当防衛として、死に追いやった事。その後、彼は火災の煙で、意識がもうろうとしていたところを誰かに助けられたと言う
｢火を放たれて、死ぬかも、とは思ったけど、優しい誰かが助けてくれたんです｣
｢･･･そうでしたか｣
｢あと、言い訳に聞こえるかもしれませんが、犯人を殺すつもりは、ありませんでしたよ｣
彼が言うには、生き証人というものが欲しかったので、動けない状態にして、近隣の人に助けを求める算段だったらしい
｢上手く事が運んで、俺はお金持ちです｣
｢やはり保険金を目当てに？｣
｢はい。良いですよ、別に。俺を捕まえてくれても。俺はもう犯罪者の仲間なので｣
そうだ。彼はもう組織に入っている。しかしながら、まだ何もしていないので、何かの罪に問えるかどうかは、微妙なところだ
彼が親を殺す為に、指名手配犯を煽ったという事実も、今のところは口頭だけで、証拠は無い
｢でも、俺がこの組織を裏切れば、首が飛ぶそうです。文字通りの意味で｣
｢え･･･｣
｢このチョーカー、宝石の部分が爆弾になっているそうですよ｣
そう言った彼の首を見れば、黄色の宝石が付いたチョーカーがあった。この組織はそこまでして、彼を手放したく無いのか
｢･･･折角、自由を手に入れたのに、この様か｣
呟いた彼は、唇を噛んでいた
｢大丈夫ですよ。ここには、僕がいますから｣
出来るだけの自由は保障する、そう約束すれば、彼は嬉しそうに笑った
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作者名：空白可能
| 作成日時：2020年11月11日 21時
