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17 バーボンside ページ17

「おい、バーボン」
「何ですか?ジン」


組織内を歩いていると、珍しい人に呼び止められて、その人を振り返って問い掛けた


「あの部屋にいるガキを躾けとけ」
「はい?何で僕が・・・」
「ガキは嫌いでな。てめぇが面倒見ろ」
「ちょ、」


断る暇もなく、ジンは去って行く。それに溜め息を吐いて、ジンが指を差していた部屋に向かった


「失礼します」


一応、扉を叩いて、部屋の中に入った。室内を見渡せば、ベッドの上に人影を見付ける。その人影に見覚えがあるような気がして、急いで傍に向かう


「あ、なたは・・・」


ベッドの上にいたのは、白い肌と髪が特徴的な霧花 Aくんだった


「ぁ、う・・・、だ、れ・・・です、か・・・」


何も着ていない彼は、虚ろな目をして、小さく問い掛けて来る。体は痙攣しており、彼の腕には注射器を刺された痕がいくつもあった

それだけで、ここで何があったのかは容易に想像がつく


「僕です。安室です」
「あむ、ろさ、」
「はい。触りますよ」


微かに頷いた彼に触れる。少し触れただけなのに、彼は甘い声を漏らして、体を揺らす


「・・・お風呂に入りましょう」


彼を毛布に包み、部屋から出た。自室の方に行き、彼をお風呂に連れて行く。ほとんど意識の無い彼の体を洗い、水気を取って、服を着せる

自室のベッドに寝かせて、ジンのもとに向かった


「ジン」
「何だ」
「あの子を何故この組織に?」
「アイツは賢い。それがガキとなれば、使い用は多い」


子どもの姿であれば、どんな人でも多少の油断はするだろう


「子どもを犯罪者に、ですか?相変わらず、趣味が悪いですね」
「あのガキは犯罪者だ。何の文句がある?」
「あの子が犯罪者・・・?」
「ああ。アイツは親殺しの犯罪者だ」


ジンは不気味に笑って、彼について話し始めた

霧花 Aは、実の親と姉から虐待を受けており、酷い時には、怪我をした状態で、寒い外に出されていたという話だ

そして、そんな彼の様子を見ている男がいた。それは子どもを誘拐し、自分の欲を満たす為に使うという非道な人間で、日本でも指名手配されている男だった

その男は刃物で、彼の家族三人の命を奪った後、家にライターで火を点けた。しかし、その男も炎に巻き込まれて亡くなっている

確か、その事件では、幼い少年が救出されたはずだ。そこで少し思い出した事があった


「そして、アイツは多くの保険金を受け取った」
「あの子が保険金を目当てに親を殺した、と?」
「その通り。後はアイツに訊くんだな」


ジンは長話をする方でも無いので、仕方ないと思い、頷いて返した

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作者名:空白可能 | 作成日時:2020年11月11日 21時

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