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「明日、お前を迎えに行く、って何だ?」


文章の意味が分からない訳では無い。ただ間違いメール、迷惑メールの類いにしては、変な感じだ。嫌な予感もする

しかし、気にしたところで、今の俺に何かが出来る訳でも無い。携帯の画面を消して、晩御飯の準備をしようと思った


「はーい」


準備を始める前に、インターホンが鳴って、玄関のドアを開けた。そこにいたのは、先程、別れたはずの安室さんの姿があった


「どうしたんです?安室さん」
「一緒に晩御飯でも、と思いまして」


安室さんはそう言って笑った。その手には鍋が持たれていて、どうやら、本当にそのつもりらしい


「まぁどうぞ。奥の部屋で食べましょうか」
「ありがとうございます」


扉を押さえて、安室さんが入れるようにすれば、彼は何のためらいもなく、中に入った


「そう言えば、安室さん。さっきお茶、飲まずに帰りましたね?」
「あ、あはは・・・、すみません」


安室さんは申し訳なさそうに謝った


「冗談ですよ。他人が出したものなんて、飲めませんよね。ところで、何を持って来たんですか?」
「シチューを持って来ました。食べられましたか?」


シチューという事は、俺と話す前から、準備していた事になる。つまり俺と話す事は、今日の予定に組み込まれていたという事だ


「大体の料理は食べられますよ。好き嫌いは少ない方なので」
「それなら良かった。他に何か好きなものはありますか?」
「あま、・・・苦いものが好きですよ」


甘いもの、と答えそうになって、言い直した。勿論、俺の言い方に、彼は引っ掛かった様子を見せたが、何かを言う事はなかった


「ビールとかよく飲んでましたし」
「・・・未成年ですよね?」
「前の話です。さて、温めますか?」
「はい。少しだけ、温めさせてもらいますね」


そう言った安室さんは、コンロの上に鍋を置いて、火を点ける。その間に自分は、お皿とスプーンの用意をする


「これで良いですか?」


安室さんに言って、お皿を渡す


「ありがとうございます。待って行ってもらって良いですよ。後は僕がしますので」
「じゃあ、お願いしますね」


まだ俺の事を信じていない様子の安室さんは、俺に何かをさせる事が嫌らしいので、大人しく奥の部屋で、スプーンと共に待つ事にした


「お待たせしました」


暫く待っていると、鍋を持った安室さんが来て、シチューの注がれたお皿を置いた


「おお、美味しそう」
「そうですか?」
「はい。よし、いただきます」


手を合わせて言ってから、スプーンを手に持った

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作者名:空白可能 | 作成日時:2020年11月11日 21時

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