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「兄さん・・・!!」


目を覚ました彼に、Aくんが嬉しそうに声を掛けたが、彼の方は視線を逸らした


「あ・・・、えと、さっきは、ごめんね・・・。兄さんを怖がらせたかった訳じゃないんだ。もう安心して、何もしないから」


Aくんはそう言ったけれど、彼がその言葉を信じるのは難しいだろう


「兄さんが僕に慣れるまで、傍にいさせてくれるかな?」
「・・・嫌だって言ってもいるんだろ」
「嫌なら、傍にいないよ。遠くで見てても良い?」


Aくんは、彼の嫌がる事は絶対にしないと決めているのか、そう言った


「ダメ、かな・・・?」
「・・・そんな顔されたら断れる訳ないだろ。傍にいても良いが、何もするなよ」
「ありがとう!!兄さん!!」


パァッと顔を明るくしたAくんは、彼に抱き着こうとする。しかし、ベッドで横になっていた彼は、軽く避けて、ベッドに腰掛ける形になった


「透には、本当に迷惑ばかり掛けてるな・・・」
「いえ、気にしないでください。あと僕は、降谷 零ですよ」
「零、か。僕の事は、好きに呼んでくれて良いよ。Aとはもう呼べないと思うから」


彼がそう言った時、ベッドに倒れ込んだままだったAくんが、ピクリと反応を示した


「僕はAじゃなくて良いよ!!兄さんが、Aって名乗って!!」
「僕は二年しか使ってないから、思い入れも無いから要らない」
「うぅ・・・。じゃあ、何か呼び方を考えようよ。僕は、兄さんって呼ぶけど・・・」


Aくんは、こちらを見た

彼の名前が無いに当たって、問題があるのは僕の方だろう。彼を呼ぶ為の名前を考えなければならない。このまま、彼の名前を呼べないのは嫌だった


「・・・何か、考えましょう」
「零が呼びやすい名前で良い」
「そう言われましても・・・」


僕が呼びやすいのは、Aくんという呼び方だが、それだと被ってしまい、判別がしにくくなってしまう


「やっぱり僕が名前、変えようよ。そしたら、兄さんがAで、僕が弟さんとか」
「それなら、僕がお兄さんで良いだろ。暫くはそれで良い」
「良いのが決まったら教えますね」
「そうしてくれ」


とは言っても、人に名前なんてつけた事が無い為、どんな名前が良いのかが分からない。ハロとは勝手が違うので、名前を決めるのには、まだまだ時間が掛かりそうだ


「あ、降谷さん」
「何でしょう?」
「引っ越す予定とかありますか?」
「アパートでは、三人と一匹は狭いですよね」


Aくんに言われて、気付いた

引っ越す事はすぐには出来ないが、二人が住みたいと思える場所を探す事にした

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作者名:空白可能 | 作成日時:2020年3月16日 23時

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