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「ふ、はぁっ・・・は、ん・・・っ」
「そうです。ゆっくり息を吸ってください」


落ち着かせるように言い続け、段々と呼吸が安定して来る


「も、大丈夫・・・」
「良かった。僕の事が分かりますか?」
「透でしょ。分かるけど・・・」
「じゃ、じゃあ、僕はの事は!!?」


Aくんが慌てて彼に訊いたのだが、彼が答えられる訳も無く、悩んでしまう。恐らく、誰なのかは分かっているのだが、答えられるようなものでは無い。そう思っているのだろう


「どういう事・・・?僕は、何で、」
「話せば長くなりますが聞いてくれますか?」
「・・・分かった」


彼に今までの事を全て話した

勿論、信じてもらえるような内容でも無かったが、彼の事は、彼自身がよく知っている。自分が存在するはずの無い人間だったという事ぐらい、僕よりも、Aくんよりも知っている


「僕は、その、ホムンクルスっていうのになった訳だ」
「すみません、僕のワガママで・・・」
「良いよ、別に。僕は元々記憶だけの存在だから。それで、僕が兄ってのは何?君が本当の僕なのは分かるけど・・・」


Aくんの事を見た彼が問い掛けた

双子の事は、Aくんにしか分からない。彼は彼となる前に、亡くなってしまった。そして、Aくんとしての記憶もほとんど無いので、兄というのが分からないのだろう


「僕は、兄さんの弟だよ!!」
「いや、あの、そんな事、言われても僕に弟なんていないし・・・」
「Aくん、まずは彼に説明しましょう。Aくんと彼の関係について」


Aくんは頷き、彼に説明をした。二人は双子で、彼はAくんの兄であった事、兄になる前に亡くなってしまった事を話した


「・・・なるほど。でも、僕は君の兄じゃない。死んだんだから」
「兄さんだよ!!兄さんが守ってくれてたから、僕は生きて来れた。辛い事をずっとずっと押し付けて、ごめんね」


Aくんはそう言って謝り、彼の事を抱き締めた


「だから、僕は兄さんじゃないって言ってるだろ・・・」


彼はAくんの胸元を押して言った


「良いの!!兄さんは兄さんなの!!」
「そ、そんな事、言われても・・・、」


Aくんの圧に彼は少しばかり怯えてしまっている。いきなり言われても、頭がついて来れていないのも分かる


「まぁまぁ、Aくんのお兄さんって事で、良いじゃないですか」
「透まで何言ってるんだよ」
「これからの事を考えてみてください。僕達はこれから、一緒に住むんです。それを踏まえれば、」


二人が双子である事の方が都合が良いと彼に話した

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作者名:空白可能 | 作成日時:2020年3月16日 23時

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