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「そう。彼の許可を得て、写真を撮らせてもらったんだけど・・・、後で見てちょうだい」
「分かりました」
「さてと、ここにいるわ」
志保ちゃんが立ち止まった部屋の扉の前
「・・・僕が会っても大丈夫なんでしょうか?」
Aくんが怯えていた事が気になってしまい、彼女に問い掛けた
「大丈夫よ。貴方が来る前に訊いたけど、大丈夫だって言ってたから。入るわよ」
コンコンと扉を叩いて開き、彼女は部屋に入った
「起きてる?」
「・・・起きてる」
「そう。安室さんが来たから、体を起こしてほしいんだけど」
志保ちゃんが言うとベッドで横になっていたAくんは体を起こして、こちらを見た。こちらを見た彼の顔は、誰が見ても、寝不足だと分かるぐらいに目の下に隈があった
「志保ちゃん・・・?基本的な機能は働いてるって・・・」
「そうね。機能は働いてるってだけよ。ちゃんとは働いていない。後で話があるけど、今は彼と話しなさい」
そう言われ、戸惑いながらもAくんの傍に近付いた
「Aくん、この間は、すみませんでした」
「・・・この間?何の事?」
軽く笑った彼は訊いて来た。慌てて志保ちゃんの方に視線を向けた。首を横に振っていたので、これ以上、この話はしてはいけないという事だろう
「いえ、何でもありません。メロン、食べますか?」
「食べる」
持って来たメロンを見せると彼は少し嬉しそうに頷いてくれたので、安心した
「分かりました。少し待っていてくださいね」
志保ちゃんに台所を借りて、メロンを切り分ける
「志保ちゃん、彼に一体何があったんですか?」
二人きりになったので、彼女に訊いた
「詳しくは分からないけど、恐らくは、二日前の貴方との出来事は、夢と混合したんだと思う」
「夢?」
「夢を見ていて、彼はその続きだと思った。だから、貴方だと認識する事が出来なかった。私達には分からないけど、彼が怖れる誰かに、自分が酷い事をされるんじゃないかって思っていた」
だから、突き飛ばして、近付くな、触るなと言った事を僕では無い誰かに、何度も謝っていたのか、と理解した
「なるほど・・・」
「それと、これ。彼の体を写したやつ。メロンは私が届けておくから、見ておいて。終わったら、帰ってきなさい」
「はい」
切り分けたメロンを志保ちゃんに渡して、彼女から端末を受け取る。彼の体を写したという画像を見せてもらう
「やはり、傷痕が多いな・・・」
初めてちゃんと見るAくんの裸体なのだが、傷痕が多い。しかしながら、その全てが服で隠れる場所にあった
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作者名:空白可能 | 作成日時:2020年3月1日 0時