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帰って来て、気付いたのは、お風呂がちゃんと沸いている事と洗濯物がきっちりと洗って畳まれている事だった

それに、晩御飯まで用意してくれていた事。それはAくんが心の底から、僕の事を拒絶していないような気がして、嬉しく感じた

そして毎日、帰ると、晩御飯が用意されていて、お風呂の準備もされている。洗濯物もきちんと畳まれている、そんな日々が続いていた


「Aくん、いつものようにお弁当は置いておくので、持って行ってくださいね」
「・・・ん」


いつものように、Aくんに言って、部屋を出ようとすれば、微かに聞こえた彼の声


「行ってきますね」


返事が返って嬉しかった。再び、彼に声を掛けて、部屋を出た。今日は、仕事がはかどりそうだ


「今日は何だか機嫌が良さそうだな」
「はい。彼が返事をくれたのが、嬉しくて」
「喧嘩中だったのか?」
「少しだけ。僕が悪いんですよ。そう言えば、貴方は、いつアメリカに?」


そんな世間話をしながら、仕事を終わらせて、帰宅する


「ただいま帰りました、あ」
「・・・あ、」


玄関を開けて、目に入った姿に間抜けな声が漏れた。それは僕だけではなく、Aくんも同じだった

お風呂上がりなのか、水の滴る髪を肩に掛けたタオルで拭きながら、お風呂の方から歩いて来たAくん


「た、ただいま帰りました」
「・・・おかえり」


再度、言うと返事をくれる


「寝るんですか?」
「悪い?」
「いえ、おやすみなさい」


僕がそう言うと、彼は奥の部屋に向かいながら、髪を拭いて、小さく欠伸をしていた


「Aくん」
「何?」
「寝不足ですか?」
「別に」


短く彼は答えて、部屋の隅に腰掛けて、髪を拭いたタオルを隣に置いた


「また僕と一緒に寝ませんか?」
「寝ない。僕に触るなって言っただろ」


すぐに断られてしまった。少しの会話が出来たから、嬉しくて舞い上がってしまったようだ


「そうですよね」
「ハロと一緒に寝れば?」
「良いんですか?」
「飼い主は僕じゃないし。ハロ、行っといで」


Aくんは、言ったけれど、ハロは足元から動かず、彼の太ももの辺りを枕にして眠ってしまった


「ハロ?」


彼は声を掛けるが、全く相手にされていない


「ハロはAくんと寝たいようですね」
「ったく。僕と寝ても寒いだけだろ」
「暖かいんじゃないですか?人肌は」
「・・・暖かくねぇよ。人肌なんて、気持ち悪い」


ハロの頭を撫でながら、Aくんは言った

少し前の彼は手を握っていてほしいと言っていたりしたのに、どうしてしまったのだろう。彼に対する疑問は尽きない

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作者名:空白可能 | 作成日時:2020年3月1日 0時

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