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｢座らないの？｣
｢座らせてもらいますね｣
Aくんが問い掛けたので、赤井に譲ってもらった向かいの席に座った
｢僕の質問に答えてもらえますか？｣
｢構わないよ。何が訊きたい？｣
｢Aくんは、どこまで分かっていて、僕に手紙を渡したのですか？｣
問い掛けて来た彼に訊いた
恐らく、彼にはこうなる事が分かっていて、僕に手紙を渡したのだと思った。それでも、確証は無かった
｢ほとんど分かってた。僕に直接攻撃して来た辺りから。狙いは、僕とアンタがいなくなる事だ｣
｢僕とAくんがいなくなる･･･？｣
｢単純な話だよ。僕もアンタも、要らない事を知っている。この組織にとって僕達は邪魔者なんだ｣
そう言われ、思い当たる事はいくつもあった
警察は、自分達の組織を守る為に、Aくんが危険な目に遭わされて、二度も殺され掛けた。その事実が、許せなかった
｢どういう事なのか、説明してもらえるか？｣
｢潜入捜査をしていた赤井さんなら分かるだろ？透がどれだけ優秀で、どれだけの情報を持っているか｣
赤井は彼が軽く言っただけで、理解したようだった
｢君の知っている情報というのは？｣
｢僕の事を調べたのなら知ってると思うけど、僕の父親の事だよ｣
｢君の父親は君を庇って亡くなったと記載されていたが？｣
｢その事に関して僕は真実を知ってるから、邪魔者なんだよ｣
その事件の事をAくんは、赤井に言う気が無いようで、詳しくは言わなかった。赤井がこちらに視線を向けて来たが、僕の口から言うべき事ではないので、首を横に振った
｢･･･なんと言っても、組織に潰される優秀な友人を見過ごす事は出来ないな｣
｢ゆ、友人って!!｣
｢違うのか？｣
｢ちが、わなくはないですけど･･･｣
赤井が哀しそうな表情をしたので、否定が出来なかった
｢俺も協力しよう｣
｢なら赤井さんは、透の事を守ってくれ。僕は一人でも大丈夫だから｣
｢それはダメです。Aくんは僕が･･･｣
｢今後、僕の取り調べをするのは、透、風見さん、赤井さんに固定してくれれば良い。他の捜査官がする場合、警察庁長官、または、警視総監に許可を得てからするようにと言っておいて｣
権力に潰されるというのなら、彼も彼自身の権力をフルに活用するつもりでいるらしい。それならば、僕でも安心する事が出来るだろうと考えたのだろう
｢上の人には僕の名前を出せば通してもらえるから、お願いね。ついでに、日向の世話もお願いするよ｣
｢･･･分かりました。無理はしないでくださいよ｣
釘を刺すと、彼はへらりと笑って頷いた
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作者名：空白可能
| 作成日時：2020年3月1日 0時
