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Aくんは、上層部の強行手段によって捕まった。僕は、知らなかったとはいえ、合わせる顔が無くて、取調室にいる彼を外から、マジックミラー越しに眺めていた
取調室にいる彼は、我々が約束を破ったので、世間話や関係の無い話以外に何も話さなかった
｢さっさと吐いたらどうなんだ!!お前が企てた事だろう!!｣
取調室内に響いている警察官の怒鳴り声と机を叩く音
｢まずは謝れよ。っていうか、典型的な自白の強要過ぎて笑うんだけど｣
そう言ったAくんの表情は笑っていない
｢それに僕は言った。約束を守らなかった場合、僕は何も話さないって。不当逮捕を何人の人が見ていただろうね｣
｢不当ではない｣
｢それはどうだろう。まぁ僕に何かを言いたいなら、証拠でも何でも持って来てよ。僕が犯人だって言う証拠をね｣
Aくんがそう言えば、取り調べをしている警察官は黙ってしまう。証拠も何も無く、彼を拘束したのだから、不当な行為以外の何ものでも無い
この件の発端である、彼を狙った狙撃手も捕まっていないので、どこにも証拠は無い
｢事実関係が無いものは証拠にはならない。分かるよね？大体、情況証拠にもなってない｣
｢では何故、逃げた!!｣
｢自分の命が狙われたら、一般人の僕は逃げるに決まってるでしょ。それに僕を犯人だと思って追い掛けて来る警察には、自白の強要をして来る可能性があり、それを考慮すれば、恐怖でしかない｣
実際そうだし、とAくんは呟く
何も言い返せなくなった警察官に、彼は溜め息を吐いて、口を閉ざした。Aくんは、何も話さなくて、喋らなくなった
どれだけ怒鳴られようと、どれだけ諭されようと、彼は口を開かなくなった
｢苦戦しているようだな｣
｢どれだけの精鋭でも、彼には敵いませんよ｣
｢降谷くんは行かないのか？｣
｢･･･僕が行ったところで、彼は何も話しませんよ｣
僕はAくんを裏切ってしまった。僕だけを信じてくれていたのに
｢では、俺が行ってこよう｣
｢そうしてください｣
赤井はAくんのもとに行き、取調室に入った。取調室にいた警察官を追い払い、赤井は彼と二人きりになった
｢こんにちは。Aくんだったかな。俺は、赤井 秀一だ。何か話さないか？｣
｢アンタだったら良いかな｣
｢ほぉー？俺を知っているのか？｣
｢知ってるよ。アメリカの警察だっけ？世間話ぐらいなら、してあげる｣
そう言ったAくんに答えて、赤井と世間話を始めた。二人が会話をしているのは、見た事が無いので、少しだけ興味があった
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作者名：空白可能
| 作成日時：2020年3月1日 0時
