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「Aくん・・・。お久し振りです」
「うん。警察は来てないよね?」
「はい、僕だけです。今日の予定はどんなものなんですか?」
訊くと、Aくんはトロピカルランドを少しだけ回りたいという事だったので、それに付き合う事にした。付き合うというより、一緒に回りたいという気持ちの方が大きい
「最初はミステリーコースターに行こうよ」
「分かりました」
彼に連れられて、トロピカルランドの中を歩いた。そう言えば、工藤くんが蘭さんとデートをしたり、小さくなったり、初めてジンに出会ったのも、ここだったと聞いている
そんな場所に、僕がAくんと一緒にいるのは、少し変な気分だ
「はぁ、楽しかった」
二つ程、乗り物に乗って満足したのか、彼は呟いた
「それは良かったです」
「ま、遊びはこれぐらいにして、本題に入ろうよ」
「はい。僕もしたいと思っていました」
人通りが疎らな場所で僕達は向かい合い、話す事になった。もっと場所を選びたかったが、彼が立ち止まった場所がここなのだから、仕方がない
「変な言い回しはせずに訊くけど、どうして僕が犯人みたいになってるのか、教えてくれない?」
「それは、」
「僕は被害者だよ?それなのに・・・」
「分かっています!!だから僕も、色々な事を試しました。でも、どれも君を救う程の事になら無かった。・・・すみません」
自分の情け無さに、嫌気が差した
「あの人から、話は聞いてる。だから、・・・!!?なんだ、お前ら!!」
急にAくんが大きな声を出したので、俯かせていた顔を上げた。目に入ったのは、Aくんが複数の男に取り押さえられている姿だった
「放せ!!僕が何をしたって言うんだよ!!」
「うるさい!!話は署で聞く!!」
男の一人がそう言った瞬間、暴れていた彼の動きが止まった。そして、僕の事を見た。その目は、僕を責めていた
「僕を、裏切ったの・・・?嘘、吐いたの?約束したのに・・・!!」
「ちが、僕は・・・っ」
「言い訳なんて聞きたく無いんだよ!!僕は、アンタだけを信じてたのに!!それなのに、」
叫ぶように言った彼の目からは、いくつもの雫が溢れ落ちていた
初めて、彼が涙を流しているところを見た。こんな形で、見たいとは思っていなかった。Aくんの事を喜ばせてあげたかった。助けてあげたかった
たったそれだけなのに
「どういう事なんですか!!どうして約束を守らずに、あの場所に警察関係者がいたんですか!!」
「現状、大切なのは被疑者の確保だ。確保さえすれば、自ずと証拠は出て来る」
上司に抗議をしに行ったところで、意味は無かった
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作者名:空白可能 | 作成日時:2020年3月1日 0時