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｢これで、話が進展しそうだな｣
｢はい。やっと彼の事を･･･｣
助ける事が出来そうだ、そんな話をしながら、Aくんと会える日を楽しみに待っていた。その三日後の話だ
休憩時間に近くのコンビニで、何かを買おうと思って外に出ていた。何故か、赤井もついて来ていて、色々買ってから、コンビニから出た
｢お兄さん!!｣
｢えーっと、僕かい？｣
僕の隣に来て、声を掛けて来た小学生ぐらいの男の子に問い掛けた
｢うん。お兄さんに、これを渡してほしいって｣
そう言って、手渡されたのは茶封筒だった
｢ありがとう。これを渡してほしいって言っていた人の事は覚えてる？｣
｢ゲッケイジュって言えば分かるって言ってたよ!!それじゃ、渡したからね!!バイバイ!!｣
｢あ、待って!!｣
声を掛けたけれど、男の子は止まらず、走り去って行った。仕方なく、残された茶封筒に視線を落とした
｢誰からかは分かるのか？ゲッケイジュだとは言っていたが･･･｣
｢月桂樹。お月様の月に、桂川の桂、樹木の樹で月桂樹というんですよ。そして、月桂樹を文字に起こして逆から読むと、樹桂月になります。樹桂月は、Aくんの本名です｣
｢なるほど、そういう事か｣
ずっと、安室名義だったので、僕に連絡をくれた時も、透呼びだったのだろう。彼は僕の本名を知っているので、違和感を覚えたが、何も言わずにいた
その違和感の謎が解けて、少しだけホッとした
｢あ、これは誰にも言わないでくださいね。捜査本部の人間にも｣
｢彼の名前をか？｣
｢そうです。今の彼は、安室 Aくんです｣
そろそろ、名前をどうしたものかと悩んでいた。白椿さんにも、僕の事はバレているだろうし、いつまでも安室の苗字を使ってもらう訳にもいかない
｢ところで、その封筒には何が入っているんだ？｣
｢手紙ですかね？見てみましょう｣
少年から受け取った茶封筒を開いて、中を見ると、二つ折りの紙が入っていた。それを取り出し、手元で広げる
｢謝らないと許さない、と書かれているが、何かしたのか？｣
｢思い当たる節が有り過ぎて、分かりません｣
｢そう来たか。その事も会った時に聞くと良い｣
｢そのつもりです｣
早くAくんに会いたかった
そして、やっとの事で、彼に会える日が来た。トロピカルランドで、腕時計を見ながら、彼が来るのを待っていた
｢お待たせ｣
一週間前に聞いた声が、目の前で聞こえて、顔を上げた。顔を上げた先には、待ちに待ったAくんの姿があった
ほんの少し髪が伸びただけなのに、彼の雰囲気は、以前と違って見えた
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作者名：空白可能
| 作成日時：2020年3月1日 0時
