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「毎回そんなに警戒しなくても良いのに」
「何があるか分かりませんからね」
そう答えると、Aくんが歩みを止めた
「どうしたんで、」
自分も歩みを止め、どうしたのかと訊こうとして、嫌なものが見えた
「危ない!!」
僕はAくんの事を抱えて、地面に伏せたが、太ももの辺りに激痛が走った。周りからは悲鳴が聞こえ、体を起こした
「Aくん、」
「動くな、肩貸せ。この騒ぎじゃ撃って来ないはずだ」
そう言いながら、彼は僕の返事を聞かず、僕を引き摺りがちに裏路地の方に入って行った。奥の方で、壁に背中を預けて座り込む
「待ってて。止血ぐらいするから」
「・・・Aくんは逃げてください。あの人は、君の命を・・・」
「知ってる。アンタが言った通り、僕は逃げる事にするよ。じゃあね」
手早く止血を済ませて、立ち上がったAくんは、僕に背中を向けて、走り去って行った
彼を傍に置いておく事は危険だと思ったのだが、これで良かったのかという気持ちはあった。風見に連絡を入れておいた。Aくんの保護をお願いすると
脚を怪我した自分は、足手まといになるだろうと思って、その選択をしたのだが、どうやら間違いだったようだ
彼を一人で、逃がすべきでは無かった
上層部は、Aくんが僕の命を狙った犯行だという判断を下した。勿論、僕は抗議をしたけれど、判断は揺るがなかった
それどころか、警察内には僕がAくんに裏切られて怪我をしたのだという噂ばかりが目立っていた
上層部は、本当にAくんの事を抹殺しようとしていた
事件を公には出来ない為、内密に捜査が進められる事となった。その捜査には僕も参加していた。誰よりも早く彼を見付ける事が僕の目的だ
「やぁ、降谷くん」
「どうも。忙しいのですが、何のご用ですか?赤井捜査官」
庁内で声を掛けられたので、返事をした
「少し噂を聞いたんだが、君が撃たれたと」
「そうですが、何か?」
「その計画を立てた少年は逃亡中だと聞いてな。協力出来る事は無いか?」
「ありがたいお話ですが、僕は彼を捕まえる気はありませんよ。見付け出して、保護します」
保護をした後、上層部にいるあの男の事を調べようと思っていた
「保護してどうする?少年は君を殺そうと思っていたんじゃないのか?」
「・・・変な噂だけで、彼の人柄を決め付けるのは、やめていただけますか?怒りますよ」
「なるほど。やはり俺も手伝うとしよう」
フッと笑った赤井にワケを問うと、沖矢 昴だった時に、Aくんと何度か会った事があって、少しばかり気になるから、だそうだ
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作者名:空白可能 | 作成日時:2020年3月1日 0時