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「お風呂でも、どうぞ」
片付けを終わらせ、奥の部屋でボーッとしている彼に声を掛ける
「お風呂はここです。あ、そう言えば、パジャマ・・・」
パジャマになる服を買っていない事に気が付いた
「アンタの服で良い」
「そうですか?また今度、買いに行きましょう」
学校に必要なものを買いに行くついでに買えば良い
着替えを置いておくので、出たら着替えるように言って、彼をお風呂に入らせた。長袖が良いとの事なので、それを用意して、自分は仕事をする
「上がった」
「はい。では、僕も入って来ますね」
暫くして、お風呂から出て来た彼と入れ替わりに、お風呂に入る。自分の服を脱いでいて気付いたのは、彼が着ていた服が綺麗に畳んで置かれていた事だった
そう言えば、と辺りを見ても、少しぐらい水滴が落ちていそうなのに、全く落ちていなかった
そこまで、気を使っているのか?そんな風に思っていた
「Aくん」
お風呂から上がって、部屋の隅にいる彼に声を掛ける。彼はこちらを向く
「僕に気遣いは無用ですよ」
「気遣ってると思う?」
「・・・いいえ。思いません」
静かに聞こえた声は、気遣いを否定をした。そう言った彼自身に僕に気遣っているような様子は無かった。つまり、彼の行動は、無意識、という事だ
「そろそろ、寝ましょうか。Aくんは、」
「僕はここで良い。おやすみ」
「え、ちょ、」
言葉の途中で、彼は畳の上に寝転んで、毛布も無しに眠り始めた。こうなってしまっては、恐らく声を掛けても、何の反応もしてもらえないだろう
仕方なく、掛け布団を彼にそっと掛けて、用意していた毛布に包まって、自分も眠る事にした
特に問題も無く、一日が過ぎた事にホッとした。明日がどうなるかが分からないので、まだ気を緩める事は出来なかった
翌日の朝
僕が目を覚ました時、彼は既に起きていて、カーテンを開けて、空を見上げていた
「・・・Aくん、おはようございます。早起きですね」
「このぐらいに起きるのは常識だろ」
僕よりも早く起きる事のどこの常識だ、と言いそうになったが、人の事は言えないような生活をしているので、何も言えなかった
「今日は僕が働いている喫茶店に行ってみましょうか。朝食もそこで取りましょう」
「何でも良い」
「では、出掛ける準備をお願いします」
お願いすると彼は立ち上がり、洗面所の方に歩き出した。自分も顔を洗おうと思い、彼の分のタオルと自分のタオルを用意して、洗面所の方に向かった
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作成日時:2020年2月10日 22時