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普通の同級生という事なら、あんな表情をする事は無いはずだ。つまりAくんは、白椿さんに何かしら思う事があるという事だ
「当時のニュースを見ていた、か」
Aくんの事を知っている人が同じ学校にいるのは少しばかり危険かもしれない。流石に当時の事を話しはしないだろうけれど、彼の身元がバレかねない
と言っても、すぐに転校させる訳にもいかない
もう少し様子を見るとしよう
「おはようございます」
「安室さん、おはようございます。Aくんの様子はどうですか?」
「随分と良くなりましたよ。僕共々、ご心配をお掛けしました」
僕がここに戻って来た時に、Aくんの怪我の事も話しておいた
「本当、気を付けてくださいね」
「はい。すみませんでした」
Aくんの学校が終わる頃まで、ポアロで業務を行い、一度抜けて、彼を迎えに行く。校門の前で待っているAくんを見付けて、車を停める
「Aくん」
声を掛けると彼はこちらを一瞬だけ見た
「迎えが来たから、じゃあね」
校門の前で話していた女子生徒、つまりは白椿さんと別れて、Aくんはこちらに来る。車まで行き、助手席に乗ってもらう
「仲が良いんですね」
車を動かした先で、彼に言った
「そうでもない。あの人は、苦手なんだ」
「苦手?」
「・・・ちょっとな」
Aくんは詳しく答えなかった
「ここで待っていてくださいね」
ポアロに戻り、彼を隅の席に座らせた
「Aくん、怪我は大丈夫?」
「大丈夫だよ。心配してくれて、ありがとう」
「どういたしまして。何か飲む?」
「コーヒー、ブラックで」
話をするAくんと梓さんを見てから、スタッフルームに行き、再び業務に戻る
「いらっしゃいませ」
来店を告げる音が鳴り、声を掛けた
「あれ、安室さん?」
「こんにちは、コナンくん」
「今日はもう終わったんじゃないの?」
「少しだけ抜けただけだよ。彼の迎えにね」
横目でAくんの方を見ると、コナンくんは彼の存在に気付いた
「退院したんだ!!声掛けても良い?」
「良いよ。彼も暇だろうから」
「ありがとう!!」
コナンくんはAくんのもとに走って行き、声を掛けていた。何を話しているのかが気になるので、二人の前に向かった
「コナンくんは何か飲む?」
「えーっと、オレンジジュースで!!」
少し悩んだコナンくんの注文通り、オレンジジュースをコップに注ぐ
「どうぞ」
「ありがとう。お兄さん、怪我は大丈夫?」
「大丈夫だよ。透が凄く心配性だけど」
そう言った彼は、呆れたように僕の事を見上げた
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作成日時:2020年2月10日 22時