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「では、僕は先に出ますね。お弁当はテーブルの上にあるので、それを持って行ってくださいね」
「分かった」
Aくんの通う学校は学食かお弁当なので、作っておいたものを彼に教えておいた。鍵に関しても、僕の方が遅く帰る事は目に見えているので、彼に渡している
「いってらっしゃい」
「はい。いってきます」
彼に見送られるというのは、妙な気分だ
アパートを後にして、自分の仕事をこなして、客足の少ないポアロで、新作のメニューを考えたりする
ふと、外の様子を見た時だった。ポアロの窓越しに見覚えのある人が歩いているのが見えた
それはAくんだった
姿からして、学校帰りだろう。この時間なら、有り得ない事ではないし、ポアロの前は、遠回りではあるが、学校の通学路としても使える
彼の姿を目で追っていると、彼は立ち止まり、目の前を睨むように見ていた。恐らく、他の人から見れば、無表情のままだろうけど
僕はそれを不思議に思って見ていたが、右側から誰かが走って来た
「えっ」
窓越しの彼の行動に驚いて、間抜けな声が出る
走って来ていた男の人に、少し横にズレたAくんが足を引っ掛けたのか、男の人は走った勢いのまま倒れていった
何があったのかを確かめる為に、急いでポアロから出て、彼のいる方を見た
「てめぇ!!」
「はいはい。うるさい」
「かは・・・っ」
転んだ男の人は立ち上がって、Aくんに殴り掛かった。しかし、彼は男の手を軽く払い退け、胸元の辺りを手の平で軽く叩いた。そう見えただけで、実際は違うのだろう
男は息を詰まらせたような声を出していて、壁に背中を預けて座り込んでしまった。何度か咳き込んでもいた
「一体どうしたんですか!!?」
冷静に分析している場合では無いので、声を掛けた
「ああ、アンタか。コイツは、」
「ひったくりだよ」
彼では無い声が後ろから聞こえ、振り返ると、そこには高校生探偵だという、世良 真純 さんが立っていた
「ひったくり、ですか」
「ああ、そうさ。止めてくれて、ありがとうな。えーっと、」
世良さんが、僕の後ろにいる彼を見た
「安室 A」
「アンタも安室っていうのか。僕は世良 真純。よろしくな」
「世良ちゃーん!!」
挨拶を交わしていると世良さんの後ろから声が聞こえて、蘭さんと園子さんがやって来た
どうやら、帰宅途中で偶然、ひったくりを見掛け、追い掛けて来たのだという。犯人の逃走経路に、たまたまAくんがいて、仕方なく彼は犯人を止めたという事らしい
ひったくりを警察に預けた後、彼はポアロに引き摺り込まれていた
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作成日時:2020年2月10日 22時