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次の日、彼は普通に体を起こして、医者と話をしていた。昨日も、手術後すぐに目を覚ましていたので、凄い生命力だ
「他に痛む場所はありますか?」
「無いよ。いつ退院出来る?」
「傷口が塞がり次第、出来ると思います」
「じゃあ、それまで世話になる」
医者にそう言って、これからの話を聞いていた
話を終えて、医者が出て行き、彼の視線がこちらに向いた
「それで、アンタは、いつまでここにいるつもりだ」
「今日は僕もお医者さんと話があるんです」
「あっそ。あのガキ共が僕の事を話してないと良いけど」
彼がポツリとそんな事を言った
「面倒事は嫌ですか?」
「僕が事情聴取を受けて困るのは、アンタの方だと思うけど」
「・・・確かに。そこまで計算に入っていたんですか?」
「どうだろうね。それよりも、メロンが食べたい。酸っぱいミカンでも良いよ」
適当にはぐらかした彼は、以前と変わらない好物を僕に求めて来た
「メロンで我慢してください。明日、持って来ます」
「やったー」
やる気の無い返事をしたAくんの事をじっと見詰める。彼の瞳には光が差しておらず、笑う事も無くなった
「君はどうして、」
「そのくだらない話をするなら、帰ってくれない?」
「すみません。それでは、質問を変えます。君はどこで、あの強盗達の位置を教える方法を学んだんですか?」
彼が左だの上だのと言ったのは、銀行の図面に十ミリ程度の間隔で縦と横に線を引いて、犯人達の居場所を特定する方法だった
それを咄嗟の判断で、思い付くのは難しい
「僕が一番よく知ってる人が昔やってたのを思い出しただけ」
「Aくんが、一番よく知ってる・・・?」
「その通り。この話もつまんないから終わり」
溜め息を吐いた彼は寝るのか、横になり布団を被ってしまう
「おやすみなさい」
「おやすみ」
声を掛ければ、返事は返って来て、静かな病室になった
Aくんは、自身の話はあまり好まないのだろう
彼の事を知れたら、何かが分かるような気がした。彼がこんなにも塞ぎ込んでしまうような出来事。それを知りたかった
その日は、何事も無く過ぎ去っていき、次の日には、僕はポアロの業務に戻っていた
「安室さん」
「いらっしゃい。コナンくん」
「お兄さんの事を訊きたいんだけど・・・」
「答えられる範囲なら、構わないよ」
ポアロにやって来たコナンくんに言った
「お兄さんの調子はどう?」
「手術が終わった後、すぐに目を覚ましたよ。本人は大した事は無いと言っているけど、暫くは入院する事になってる」
目の前に座ったコナンくんの質問に答える
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作成日時:2020年2月10日 22時