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そして、目の前を歩くAくんを見送り、彼が爆弾の傍まで来た時だった
「な、てめぇ!!」
彼が自分を掴んでいた男の手を払いのけ、体当たりをした。その騒ぎで、犯人達は彼に視線を向けて、取り押さえようと動き始める
それが犯人達の隙である
僕も彼を救い出す為に動き始めた
「がは・・・っ」
まず近くにいた男を気絶させて、その次に向かう。二人目も近場にいたので、すぐに制圧出来た。彼を歩かせていた男は、僕が見た時には、既に床に伸びていて、もう一人と思って顔を上げた
「てめぇ、何者だ!!」
怒鳴った最後の男の制圧をしようと思ったが、それは出来なかった
「動くんじゃねぇ。このガキがどうなっても良いのか?」
最後の男の腕にいるのは、コナンくんだった
「何者だって訊いてんだよ」
「・・・僕はただの探偵ですよ」
そう言って、被っていたものを脱いだ
「探偵だと?ふん、どうでも良いな。動くなよ。少しでも変な動きをすれば、」
「撃つの?」
問い掛けたのは、僕では無かった。少々の演技で隙を作ったAくんだった。全員が彼に視線を向けていた
「ああ。このガキがどうなっても良いのか?」
「そうだなぁ。僕はどうなっても良いと思ってるよ」
「何・・・?」
「だって、お前がソイツを撃てば、僕がお前を押さえ込むぐらいの時間は出来る。それで、お前は刑務所行きだ。ハッピーエンドだろ?」
クスリと笑みを浮かべた彼は平然と言ってのける
「お前、コナンの事を何だと思ってんだよ!!」
「さっきまでの優しいお兄さんはどこに行っちゃったの!!?」
「そうですよ!!僕達を庇ってくれたお兄さんは・・・!!」
コナンくんの友達である少年探偵団の皆は口々に彼に向かって言ったけれど、Aくんは無表情でこちらに視線を向けた
「うるせぇな。この世界はな、個より全だ。たった一つの命で、多くの命が助かる。合理的な考え方だ」
そう吐き捨てて、彼はコナンくんを人質にしている犯人に視線を戻した。そして、迷う事無く、犯人の方に歩いていく
「く、来るな!!本当に撃つぞ!!」
「だから、撃てば良いだろ。ていうか、さっさと撃てよ。僕が動けないだろ?」
犯人の脅しに、返した彼は歩みを止める事はせず、一歩、また一歩と犯人に近付いていく
犯人も近付く彼に合わせて、一歩ずつ下がっていくが、ジリジリと距離を縮めて行く彼に、犯人は目出し帽をしていても分かるぐらいに焦りが見えていた
「近付くんじゃねぇえ!!」
響き渡る犯人の叫び声。その直後に、乾いた音が銀行内に響いた
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作成日時:2020年2月10日 22時