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「俺がいなくても、向こうで幸せになってんのかなぁ」
そんな独り言を溢した
「向こうに行ってしまった人の事は分からないが、幸せであってほしいと思うのは自由じゃないのか?」
「そうですけど・・・」
「幸せそうにしていたのなら、そうなんじゃ無いのか?君は不幸にしたと思っていたのだろう?」
零さんの言う通り、俺は二人を不幸にしてしまった。だから、夢に出て来るなら、俺を呪ってやる系統の感じかと思っていた
「それに赤井がいるのなら安心だ」
「確かに。ま、夢は夢ですからね」
「少しは夢に希望を持て」
「現実主義者なんです」
そう言えば、溜め息を吐かれた
だが、零さん何も言わず、車を走らせた。その後も会話は無く、結局、捨てた自宅に帰って来る事になった
「さて、この置き手紙の意味は何だ?」
「書いてある通りです」
「今まで、ありがとうございました。この家は差し上げますって、ただの遺書にしか見ないんだが?」
捉え方は自由だが、零さんには遺書に思えてしまったようだ。人の死に敏感な零さんなら有り得ない事でも無いのだろう
「まぁ遺書のつもりで書きましたから」
「ったく。これを早く見付けられて良かったよ」
「珍しいですよね。早く帰って来るなんて」
最近は夜遅くか、帰って来ない事が多くて、顔を合わせる事も少なくなっていたというのに
「君が退職届を出したと聞いて、慌てて帰って来たんだ」
「上から出せと言われたら逆らえませんよね」
上から退職しろと言われ、裕也さんにも退職を勧められたので、出さないという選択肢は出て来なかった
出て行けと言われたのなら、出て行くまでの話だ。元々自分は留まろうとは思っていなかった。それを引き止めてくれた裕也さんが言うならば、余計に出て行った方が良いという考えにしかならない
「上に掛け合ってみたが、退職届だからと言って、取り合ってもらえなかった」
「掛け合ってくれたんですね」
「形だけはな」
「うわぁ。それを言わなきゃ、惚れてたかも」
形だけは掛け合ってみたと聞けば、零さんも零さんで、俺が警察を辞める事に賛成していたという事だ
「・・・そこでだ」
「なんですか?」
「君には僕達の協力者になってもらいたい」
「僕達、という事は裕也さんも含まれるんですね?」
訊くと零さんは頷いた
「正直言って、Aの能力はこちらとして手放すのは惜しい」
「だから協力者なんですね」
「それに協力者だと自由が利く」
そう言われ、少し考えた
零さん達の協力者になれば、何をしても色々と揉み消しもしてもらえるという事だ
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作者名:空白可能 | 作成日時:2019年12月24日 20時