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「いえ、自分はすぐ戻りますので、お構いなく」


仕事の途中でここに来たので、さっさと帰りたいのが本心である。そうしないと、また今日中に仕事が終わらない


「そうか。じゃあ、」
「はい。では、また」


降谷さんに頭を下げ、部屋を出た

風見さんに連絡を入れて、放って来た仕事をしに庁まで戻った。そして、またぼんやりしながら仕事をしていた


「・・・はぁ」


溜め息しか出ない

これなら現場で、ドンパチしている方が楽だというものだ。デスクワークはどうにも性に合わない。昔から座って何かをする仕事は苦手だった

とは思うが、これも立派な公務員の仕事なので、投げ出す訳にもいかない


「あーあ、やっぱり降谷さんの家でサボっとけば良かったなぁ」
「サボるな」
「アイテッ」


自分だけかと思っていたのに、唐突に声が聞こえて、頭を叩かれた


「か、風見さんじゃないっすかぁ・・・いつの間に・・・」
「さっきの間にだ」
「うわぁ、微妙な返事。今日はもう終わったんですか?」
「いや、これから今日の事をまとめないといけない」


そう言いながら風見さんはイスに座り、せっせと仕事を始めた


「風見さんって本当に真面目ですよね」
「それは薫衣も同じじゃないのか?」
「俺は真面目じゃないですよ。どちらかと言えば、ネジが一本外れてます」


そう言うと風見さんは黙ってしまう。ついでに先程まで聞こえてたいた風見さんがキーボードを叩く音も無くなっていた


「確かに、薫衣は異質な才能を持っている事は俺から見ても分かる。しかし、俺から見た薫衣はネジが一本外れたようには見えない。むしろ、安定しているように思える」
「安定?」


訊くと風見さんは頷く


「そう思うのが何故だかは分からないが、俺は薫衣の事を信じている」
「重たいですね」
「そ、そうか・・・?」
「冗談ですよ。そう言ってもらえると嬉しいです。なので、コーヒーでも買って来てあげますよ」


風見さんにそう言い、座っていたイスから立ち上がり、オフィスを出た。自販機でカフェオレを買って、自分用に無糖のコーヒーを買う


「風見さん、どうぞ」


買って来たカフェオレを風見さんに渡して、自分の席に座る


「ありがとう。それはそうと、薫衣はどうして警察に?」
「突然ですね」
「少し気になったんだ。そんなに自分を過小評価しているのに、警察を目指したのかが」


風見さんの質問にどうやって答えようかと悩んだ


「うーん、そうですね。事件に巻き込まれた彼女を覚えてますか?」


少し考えて、風見さんに訊いた

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作成日時:2019年11月3日 21時

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