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「えーっと、安室さんこそ、こんな所で何を?凄く目立つ格好しているみたいですが・・・」
俺には分からないセンス、といよりどこか豪華な所に食事に行くような格好、とそこまで考えて分かった気がした
「もしかして、後ろにあるホテルのパーティに出席ですか?」
「そうだが、君はどうなんだ」
「自分はあのホテルに入って行った男の尾行を少々」
安室さんに今回の仕事の事を軽く話した
「なるほど。この男があのホテルにいるんだな?」
「そうです。まぁ俺の格好では行けそうもないので、今回は張り込みで終わります」
そう言うと降谷さんは何かを考えるように顎に手を当てていた。その何かが終わるまで、待つ他無いので、少しの間待った
「よし、僕が代わりに情報を聞き出して来よう」
「安室さんが?」
「ああ、ついでだ。君はここで待っていろ」
「あ、はい」
降谷さんは俺の返事をするよりも早く、ホテルの方に歩いて行ってしまった。降谷さんは誰かと待ち合わせをしていたらしく、綺麗な女性と共にホテルの中に入って行った
やはりイケメンというのは役得だなぁとしみじみ思う。自分もあんな美女と歩きたいものだ
そんな事を考えながら、降谷さんがホテルから出て来るのを待った。というより、俺はいつまで待っていれば良いのだろう
それにしても、あの人はあんな風にいとも簡単に情報を聞き出せるような人なのか。そうだとすれば、確かに風見さんがあの人の事を深く知らない事も分かるような気がする
あの人は自分の事を必要以上に話さないタイプで、必要があれば何でも使うタイプだろう。悪く言えば、俺と似たような人間だ
俺よりはマシな人だとは思うけど
大きな溜め息を吐いて、車に凭れた
ポケットに手を突っ込み、ライターと煙草の箱を取り出した。一本だけ吸おうと思ったが、止めておいた。箱を握り締めて潰し、車のドアを開けて中に放り込んだ
「空は遠いなー」
空に手を伸ばしてみたけれど、届きそうにも無い。ぶっちゃけ、高所恐怖症だし
「・・・何をしているんだ?」
「ちょっとお空に願い事を」
隣に来ていた降谷さんに答えた
「空に願っても何も変わらない。自分が変わらないといけない事だってあるんだからな」
「知ってますよ。それぐらい。人生経験は安室さんよりも多いので」
そう言って、凭れていた背中を離して、降谷さんに向き合った
「でも、変われない事もあるんです。変わらない事もあるんです。それぐらい安室さんでも分かりますよね?」
問い掛けると降谷さんは何も答えなかった
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作成日時:2019年11月3日 21時