風見さんの新しい部下【男主】 (ページ16)

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女から貰った情報をもとに男の身元が割れた

男も俺と同じようにあの女と寝たらしい。公安が持っていたソイツの名前は偽名だったようで、男の顔写真から誰かを割り当てる事が出来た

｢コイツを張り込めば良いんですね？｣
｢変な事はするなよ｣
｢しないですって。多分｣
｢全く･･･｣

呆れた様子の風見さんだったが、特に強く引き止める事はしなかった

まだ俺の事を信用しているという事だろう。それか俺の事を泳がせて、決定的な違法行為を見付け出すつもりなのだろう

そうは思うものの、人を信頼し信用する関係は、まずは自分から先に信頼する事から始まる

｢行ってきます｣
｢気を付けてな｣
｢はーい｣

風見さんに見送られながら、その場を後にした

男の家も分かっているので、男の家を見張れそうな離れた高い場所を探す。そこから男を監視し、見失わないように発信器を付けて、そこから尾行すれば良い

以前にもした手を使おうと思い、愛用の狙撃銃を組み立てた。スポッターが欲しいものだが、それが出来そうな人はいなそうだ

｢よぉし、お仕事お仕事っと｣

一人言を呟きながら、スコープを覗き、男が来るのを待った。暫くの後、やっとの事でやって来た男に発信器を飛ばした

その直後、慌ててスコープを覆い、屋上の内側へと飛び込んだ

入って来たドアに凭れて、空を見上げて息を吐いた

発信器が付いた男はその存在には気付いていない様子だったが、確実に違和感を感じていた。こちらからの攻撃だという事もバレそうになっていた

｢･･･これは、苦戦ものかな｣

風見さん連絡を取り、先程の事を報告しようと思ったが、単独行動が過ぎていて、実弾では無いが、狙撃をしている時点で報告するのは色々とまずいので、止めておいた

この間の発信器の付け方も報告していないから、余計に面倒な事になる

そんな事をブツブツ思いながら、誰かに見付かる前に屋上を後にした。そして、発信器を追い掛けた

｢でっかいホテル｣

発信器が止まった位置の近くで車を止め、発信器の方を見ると大きなホテルに着いた。どうやら、そこで今日はパーティか何かがあるらしく、何人もの賑やかな人達が中に入って行った

流石にドレスコードに引っ掛かる格好をしているので、正面からの潜入は不可能に近い

｢･･･ここで何をしているんだ？｣
｢ビックリするので、後ろから声を掛けないでくださいよ｣

すぐ後ろで聞こえた小さな声に返事をする

｢その割りには、近付いて来る僕に気付いていたようだが？｣
｢当然ですよ｣

振り返り、降谷さんに笑って返した