降谷零にお見合い命令が出ました (ページ16)

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｢なん、だよ･･･それ、｣

壁に手をついて俯いた

忘れようと、捨てようと思ったのに

これじゃあ、もう捨てられないじゃないか

自分の意思の弱さに驚いた

自分で勝手に決めて、勝手に独りになろうと思っていたのに

それでもアイツはそれを許してくれなかった

同じ傷を持っていたのに俺はアイツの傷を更に抉った

その罪の意識が大きかった

でもその傷を癒すのも、支えるのも、同じ傷を背負った者同士の務めではないのか？

そう思ったら、行動せずにいられなかった

｢私との見合いを取り消して欲しい？｣

俺は自宅に帰って、家にいた彼女に言った

『見合いを無かった事にしてくれ』と

優しい彼女なら、もしかしたら

自分の立場も危うくなるが、別に良かった

でもそんな簡単な話でも無かったようだ

彼女からの返事、

｢嫌に決まってるじゃん｣

彼女はそう言って、口元を歪めて笑った