【sm】まっこと사랑해요，my lady

宣言 ページ6

♔ ♔ ♔


はい、遂にやって来ました例のドラマの撮影･･･。今すぐ帰りたい。このドラマ、『Love Change』の撮影の後も大量に仕事が入ってるから早々帰れないんだけど。

「藤咲さんクランクインでーす！」

スタッフさんに呼ばれて、よろしくお願いしますと私はスタジオに入った。主要キャストも演技派や大御所を揃えているから、テレビ局がいかにこのドラマに力を入れているかが伝わってくる。そりゃそっか、ゴールデンだもんね。私の役は企画部の期待の新人。入社２年目にして大きなプロジェクトメンバーに選ばれるくらい。流行りに敏感な陽キャ設定ということで、スーツやメイクは今風にセットされている。

「月崎さんクランクインでーす！」

私は彼の姿を見て吹き出しそうになった。役的に仕方ないんだけど、ボサボサ頭でスーツもヨレヨレ。ネクタイも敢えて下手くそに結ばれているし、メイクさんがダメ男に見えるよう頑張ったのがヒシヒシと伝わってくる。月崎志麻の役は営業部の冴えない会社員。入社５年目だが同じミスで何度も上司に怒られている、という設定。もちろん、顔が良い彼がキャスティングされているのは、後々の展開で明かされるんだけど。

「何笑っとん」
「あ･･･いや、あまりに滑稽だなと思って。これ喜劇じゃないので、下手な演技して足引っ張らないで下さいね？」

あぁまた私の悪い癖が出た。緊張のせいで暴言が呼吸するかのごとくスラスラと口から出る。当然、周りの役者さん達はドン引きしたり、またかと呆れたり。場が悪くなったのは確実だ。

「そういうそっちこそ、女優としてブレークしとうから歌手デビューしたんかな？人気だけでやっていけるほど、音楽業界甘くないで」
「なっ･･･！そ、そんな訳ないでしょ！」

いや、事実です。事務所の意向だから、思わず一瞬怯んでしまった。あるドラマで歌唱シーンがあって、それが好評だった。だからデビューしたらCD売れるだろうっていう事務所の安直な考え。監督がまぁまぁと事を沈めてくれ、とりあえず最初のシーンを撮る運びになったけど、月崎志麻は周りに聞こえないよう囁いて爆弾を落とされた。

「お似合いじゃなくて滑稽に見えるったことは、俺の顔の良さは認めとんや。ドラマだけじゃなくてリアルでも落としたるから、覚悟しとき？」

･･･はい？一体どこで私に好意を持ったの？意味分かんない！

１話→←A wish that came true

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す