目覚め ページ42
♧ ♧ ♧
熱い···。体が燃えるように熱い。でもそれとは別に、心地よいあたたかさで体が包まれている気がする。うっすらと目を開けると、そのぬくもりはうらたさんの体温だった。部屋には私達以外誰もいない。皆どうしたんだろ？
「おはよう、待ちくたびれたよ。3日もA寝てたんだよ？」
そんなに起きなかったんだ。体の熱は収まらず、息も荒い。この体のしんどさもあの不思議な力が関係しているのかな？私は不安でうらたさんの服をぎゅーっと握った。
「俺の合図で息整えよっか。吸って、ゆっくり吐いて」
うらたさんの声に合わせて何度か繰り返すと、息どころか熱まで収まっていた。さすが神様、なんでもできるんだ。体は楽になったのに、なんとなくまだうらたさんに身を預けているけど、うらたさんは何も言わず抱きしめて頭を優しく撫でてくれる。
「退いた方が良いですよね？」
「俺は離れたくないよ、Aが嫌なら離すけど。あーでも一旦ハグ止めても良い？見せたいものがあるから」
見せたいもの？コクリと私が頷いたのを確認して、立ち上がったうらたさんが持ってきたのは鏡。スッと目の前に差し出され、鏡に映ったのはうらたさんと同じ色の茶髪に、桃色の瞳になった私の姿。なんで目と髪の色が変わってるの！？
「俺とお揃い、嬉しい？」
「どうせ変わるなら目もうらたさんと同じ緑が良かったな･･･」
エメラルドみたいなうらたさんの目、私は大好き。あの瞳で優しく見られるだけでキュンとしちゃう私は重症かな？はーとため息をついたうらたさん。どうしよ、きしょいって思われた！？
「そんな男がグッとくるセリフ、どこで覚えたの？俺の印なら目の色に限らなくてもつけられるよ。今からたっぷりつけてやる」
そう言うや否や、鎖骨辺りをチューっと強く吸われる。場所を変えていくつもつけられただけで私はまた息が荒くなった。体調不良じゃない、ドキドキして冷静に呼吸ができない。
「昼間から物欲しそうな顔しちゃって。いやらしいね」
なんて言いながら服に手をかけられその先を想像した私達のピンク色の雰囲気は、神社の外から聞こえる怒号でぶち壊された。
「うらたさん、私が眠ってる間になにかあったの･･･？」
「様子見てくるよ。これは夜までお預けだね、良い子で待ってなよ？」
まさかこれが最後の平和なお昼になるなんてまだ知らない私は、寂しさと不安を隠して笑顔でうらたさんを見送った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 201人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
凛月花(プロフ) - Rioさん» コメントありがとうございます。期待に応えられるよう頑張るので、最後までよろしくお願いします！ (2022年11月17日 21時) (
レス) id: 16a1f91fe3 (このIDを非表示/違反報告)
Rio - 楽しみにしています！これからも頑張ってください！ (2022年11月17日 20時) (レス) @page50 id: 3c137712a9 (このIDを非表示/違反報告)
凛月花(プロフ) - 気の抜けた中華街を歩くコンクリきゃっっとさん» コメントありがとうございます！山村というかなり特殊設定てんこ盛りなので気に入って頂けてうれしいです！続編も頑張るので最後までお付き合いよろしくお願いします！ (2022年11月16日 23時) (レス) @page5 id: c0eb9ea164 (このIDを非表示/違反報告)
気の抜けた中華街を歩くコンクリきゃっっと - コメント失礼します◎素敵な作品ありがとうございます！✨一気読みしました😋💚物語の設定や言葉の言い回しがとても惹かれました…🐱💚続編の方も読ませていただきます！◎◎ (2022年11月16日 23時) (レス) @page50 id: 28b1a8c3b0 (このIDを非表示/違反報告)
凛月花(プロフ) - アウラさん» 誤字指摘ありがとうございます。今回は夢主ちゃんの体調を思ってですが内心は悶々としてるし、夢主ちゃんが勝手にsnrさんと料理してたらガチギレ案件だと思いますｗ (2022年10月8日 20時) (レス) @page36 id: 16a1f91fe3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
