待つ身が辛いか、待たせる身が辛いか ページ16
♧ ♧ ♧
ちょっと貪り過ぎたかな。腕の中でスヤスヤと眠るAの可愛い寝顔を眺めながら反省した。でも敏感で、いやらしく乱れたAが悪いんだ。初めてだから手加減しないとっていうのは頭では分かっていたが、もっと啼かせたいという欲の方が勝った。
「うらさーん、もうそろそろ帰してあげんと。朝までこの狭間もたへんねんから」
「お前に言われなくとも分かってる。もう少し恋人水入らずの時間を楽しませろ」
なかなか狭間を閉じない俺を心配してだろう、坂田が様子を見に来た。狭間の形成・維持にはかなりの力が要る。今の俺だと一晩で精一杯だ。力尽きる前にAを現世に戻さないと、ちゃんと帰してあげられるかも怪しい。それほど俺は弱っていた。俺にもっと力があれば手放さなくて済むのに。
「んっ･･･渉様？」
「A！？もしかして俺のこと、前世のこと思い出してくれた？」
俺は現世のAに下の名前、
「本当に渉様？お会いしたかった･･･！」
「それは俺も。1000年も待った俺を褒めてよ、待ちくたびれたんだから」
抱きついてきたAの背中に腕を回し、受け止めた。その横で坂田がずっと手を交差させている。縁側の外を見やると既に景色が歪んで見えた。狭間が崩れかけている。
「A、一旦今の居場所に戻ろっか」
「え･･･？なんで、嫌です！また忘れるかもしれない。お願いです、傍にいさせてよ!!」
俺だってそうしたいのは山々。でも現世にいる時に、昼間に前世の記憶を思い出してくれないとどうしようもない。俺は泣く泣くAの要求を突っぱねた。
「ごめん、今の俺には願いを叶えてあげる力がないんだよ。でも待ってて、絶対迎えに行くから」
「･･･分かりました、その言葉を信じます。待つのは慣れているので」
ふわりと笑顔を見せてくれたけど、無理して笑わなくて良いのに。前世でもAにはずっと辛い思いをさせた。もう絶対待たせない、今度こそ幸せにsu
るから。
「今日の深夜まで、おやすみ」
Aの額に手を当て、俺は狭間から現世の碧山村の、Aの部屋に送った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 201人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「オリジナル」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
凛月花(プロフ) - Rioさん» コメントありがとうございます。期待に応えられるよう頑張るので、最後までよろしくお願いします！ (2022年11月17日 21時) (
レス) id: 16a1f91fe3 (このIDを非表示/違反報告)
Rio - 楽しみにしています！これからも頑張ってください！ (2022年11月17日 20時) (レス) @page50 id: 3c137712a9 (このIDを非表示/違反報告)
凛月花(プロフ) - 気の抜けた中華街を歩くコンクリきゃっっとさん» コメントありがとうございます！山村というかなり特殊設定てんこ盛りなので気に入って頂けてうれしいです！続編も頑張るので最後までお付き合いよろしくお願いします！ (2022年11月16日 23時) (レス) @page5 id: c0eb9ea164 (このIDを非表示/違反報告)
気の抜けた中華街を歩くコンクリきゃっっと - コメント失礼します◎素敵な作品ありがとうございます！✨一気読みしました😋💚物語の設定や言葉の言い回しがとても惹かれました…🐱💚続編の方も読ませていただきます！◎◎ (2022年11月16日 23時) (レス) @page50 id: 28b1a8c3b0 (このIDを非表示/違反報告)
凛月花(プロフ) - アウラさん» 誤字指摘ありがとうございます。今回は夢主ちゃんの体調を思ってですが内心は悶々としてるし、夢主ちゃんが勝手にsnrさんと料理してたらガチギレ案件だと思いますｗ (2022年10月8日 20時) (レス) @page36 id: 16a1f91fe3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
