もっかい溶かして、ダーリン【skt】

お持ち帰り ページ15

◆ ◇ ◆


「センラから聞いとったけとマジでダーリン呼びなんや。Aって小悪魔やねん、こうやってすぐ男引っかけてお持ち帰りするねんで？」

まるで私が逆ナンしたみたいな言い方じゃん。しょっ中人の家に来るのはそっちなのに。きっと坂田くんはこの前みたいに私を問いただす。そう思っていたのに、腕を引っ張られた私は坂田くんの後ろに隠された。

「お前の方からついて来たんやろ、嘘つくなや。ダーリンが違うって顔しとうし、ダーリンは天使やからそんなことせぇへんわ！」

天使って言われるのもなんか違和感すごいけど･･･。坂田くん、私のことをそんなに信じてくれているんだ。私の味方をしてくれてすごく嬉しい。なんだか･･･胸がぽかぽかする。

「あっ･･･！おい、何勝手に入りよんねん！」
「無理矢理家に転がり込んどうお前が言えたことちゃうやろ。A、キッチン借りるで」

狼は帰る気0みたい。




夕御飯はすごく気まずかった。2人共、無言。せっかくの焼肉も味がしない。

「志麻先輩って、高知出身なんだよ。坂田くんは兵庫出身なんだって」
「「ふーん」」

センラくんみたいにローカルネタで仲良くなるかと思ったけど、失敗。どうしたら･･･。沈黙を破ったのは志麻先輩だった。

「なぁ、お前はAのこと大事に思っとんか？キスマークなんかつけて。無理矢理つけたんやろ」
「確かに気持ちに任せてつけたけど･･･大事やからこそ、や。ダーリンに害虫が寄って欲しくないから」

暫く黙って坂田くんの顔をじーっと見ていた志麻先輩は、不意にふっと笑みを溢した。今日、家に来てから初めての笑顔だ。

「･･･お前の気持ちは本物やねんな。でも俺だって負けへんで！」
「勝利の女神が微笑むのは俺の方やー！」

坂田くんも笑顔になって、2人は和気あいあいと食べ始めた。仲良くなったのは良かったけど･･･なんで仲良くなったのか、私にはよく分からなかった。

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